コウルとカーズ、二人の剣がぶつかり合う。

一撃、二撃、三撃。

「なるほど、できる! だがーー」

カーズがコウルを弾き飛ばし、トドメの一撃を振るおうとする。

それをエイリーンの魔力弾が止めた。

「チッ、邪魔だな!」

カーズがエイリーンの方に向かおうとする。

だがそれはコウルによって遮られる。

「なるほど、二人でオレを止めようというわけか!」

一対一では、コウル、エイリーンはまだカーズに勝てない。

だが二人で攻めれば、その戦いは互角以上だった。

「このオレが……!」

押され始めるカーズはイラツキを隠せない。自分と互角に戦えるのはジンだけだったから。

「はあっ!」

コウルの一撃が、カーズの剣を吹き飛ばすと、コウルが剣を突き付けた。

「終わりです、カーズ」

コウルはカーズに降伏を願う。魔力砲を止めてくれれば、命を取る必要はない。

「舐めるなよ……」

カーズは後ろに跳ぶと、懐から黒い宝玉のようなものを取り出した。

「使いたくはなかったが……」

カーズが宝玉を握りしめる。

「な……」

カーズの魔力が増大し始める。コウルはそれを止めようと一気に接近し、仕方なくトドメを放とうとして、弾かれた。

「ぐっ……?」

「大丈夫ですか、コウル」

エイリーンが駆け寄り、二人でカーズを見る。

カーズの周りを闇の魔力ともいうべき、漆黒が包んでいた。

「この魔力は……!?」

エイリーンにはその魔力に覚えがあった。

だが、今はそれどころではない。闇の魔力を纏ったカーズが迫る。

「ぐっ!」

「きゃあっ!」

二人を吹き飛ばし剣を拾い直すと、カーズは機械を操作し始めた。

「もう、貴様らの魔力はいい。今の魔力とオレの魔力で!」

カーズが起動スイッチを押した。機械に発射タイムが表示される。

「あと10分だ。あと10分で終わる!」

「やめろっ!」

コウルの剣がカーズを斬った、と思われた。

カーズは闇の魔力で覆われた手で、剣を受け止めると、そのままコウルを投げ捨てる。

「おとなしく諦めろ」

「そうは……いかない。エイリーン!」

「はい!」

コウルは女神聖剣を呼び出し、カーズに突撃する。

さすがに聖剣相手には不味いと感じたのか、カーズは剣で聖剣を防ぐ。

光の魔力と闇の魔力が衝突する。

「うおおっ!」

「はああっ!」

コウルとカーズの全力の斬りあい。

しかしカーズの急ごしらえの闇の魔力では、コウルとエイリーン、契約した二人の魔力が上回る。

「カーズ!」

ついにコウルの聖剣の一撃が、カーズを切り裂いた。

「がはっ……」

カーズが吹き飛び、壁に叩きつけられる。

コウルはすぐさま、カーズに近づき聞いた。

「あの機械の止めかたは!」

カーズは笑った。

「も、もう遅い。魔力砲の起動は完了している。止められはせん」

「な!?」

発射タイムはあと5分。

コウルはとエイリーンは機械を調べてみるが、止める方法はわからない。

時間がどんどん過ぎていく。

「何か、手はないの?」

コウルがそう漏らした時だった。

「手段はある」

その声はリヴェルであった。

「リヴェル様!?」

「リヴェルさん、なぜここに!? いや、それより止める方法って?」

「止める方法じゃない。防ぐ方法だ。だがその前に……」

リヴェルはコウルに向き直った。

「コウル、お前は元の世界に帰りたいか?」

「え、今はそれどころでは」

リヴェルは空を指差した。

「あの空間の歪み。あれをくぐればお前は元の世界に帰れる」

「えっ」

コウルは機械の上。歪みを見上げる。

「コウル、エイリーン。お前たちが協力して、魔力で歪みを閉じるんだ。そうすれば、魔力砲は空に向かって発射され、天に消える。だが……」

もう一度、リヴェルはコウルを見た。

「あとは、お前が元の世界に帰って歪みを閉じるか、こちらの世界に残ったまま閉じるかだ」

「僕は……」

「時間がない。早く決めるんだな。」

コウルはエイリーンを見た。

「コウル、どちらを選んでも、わたしはあなたの意見を尊重します」

コウルの決断はーー。