「結菜ちゃん」


 だけど。
 すぐに拓生くんの手が私の頬に触れ。
 拓生くんの方に向かされた。


 再び目が合った、拓生くんと。





 拓生くんはやさしい眼差しで私のことを見ている。

 そのため。
 熱くなってきた、顔が。
 ドキドキと恥ずかしさで。



 たぶん今の私は顔が赤い。


 そんな私のことを見ている拓生くん。
 やさしい笑顔で。


「可愛い、結菜ちゃん」


 近づいてくる、拓生くんの顔。

 その距離、ほんのわずか。



 そして。
 やさしく触れる。
 私の頬に。
 拓生くんの唇が。


 それだからか。
 固まってしまった。
 ドキドキと恥ずかしさで。



 * * *


 それからしばらくして。

 拓生くんの家を出た。





 一輝くんにはメッセージを送ってある。

 だけど。
 できなかった、伝えることは。
 どこに行った。
 ということは。



 ものすごく嫌がっているから、一輝くんは。
 私が拓生くんと二人で会うことを。


 一輝くんとしては。
 他の男子とも一緒にいてほしくはないみたいだけど。
 拓生くんは特にダメみたい。

 たぶん気付いているから、一輝くんは。
 拓生くんが私のことを……。