「確かに結菜ちゃんと姉は一緒に暮らしていました。
 だけど今、姉は違う人と暮らしています。
 今は姉と入れ違いに僕が結菜ちゃんと二人で暮らしているんです」


 一体何を言ってしまうのか、次は。
 そう思い。
 している、ヒヤヒヤと。

 そんなとき。
 言ってしまった、とうとう。
 とんでもないくらいの爆弾発言。
 一輝くんが。





 本当なら。
 そんなことになってしまう。
 その前に止めればいい、一輝くんのことを。
 そうするべきだった。

 だけど。
 衝撃的なこと。
 それが、あまりにも多く。
 できなかった、止めること。
 一輝くんのことを。



 わからない、もう。
 何をどうしていいのか。
 パニックになり過ぎて。


「あっ、でも、
 内緒にしておいてくださいね。
 このことは誰にも言ってないので」


 混乱してパニック状態になっている。
 そんな私をよそに一輝くんはサラッと拓生くんにそう言った。


 そんな一輝くんのことを見て思う。

 なんで一輝くんはっ。
 そんなにもサラッと言えるの~っ⁉ と。



 拓生くんは驚き過ぎたのか。
 固まっている様子だった。


「では、そういうことで。
 じゃあ、結菜ちゃん帰るよ」


 なんということだろう。

 固まったままの拓生くん。
 そんな拓生くんのことをそのまま放置し。
 帰ろうとしている、一輝くんは。


 驚いた。
 そんな一輝くんに。

 一輝くん。
 拓生くんのことを放置する。
 それは、いくらなんでも……。





 そう思っている。
 だけど。
 できない、拓生くんに声をかけることが。


 わからない、どういうふうに声をかけていいのか。
 今の拓生くんに。



 気の毒。
 そう思っている。
 そんな拓生くんのこと。


 それから。
 申し訳ない。
 そんな思いもある。

 本当にごめんね、拓生くん。







 申し訳ない、拓生くんに。

 そう思いながらも。
 一輝くんと一緒に歩いて行く。
 そうするしかない、のだろうか。


 そう思いながら。
 重い気持ちで足を一歩前に進める。