「結菜ちゃんは、いつからそんな噓つきになったの。
 僕は悲しいよ」


 その願い。
 それは一輝くんには届かず。





 どうしようっ。
 このままでは。
 同じマンションの同じ部屋。
 そこで私と一輝くんが二人で暮らしている。
 そのことがバレてしまうっ、拓生くんにっ。


 バレないようにしてきた。
 拓生くんにだけじゃなく。
 同じ高校の生徒たちや先生たちにも。

 生徒や先生にだけではない。
 家族にだって内緒にしているのに。



 一輝くんと二人で暮らしている。
 そのことが嫌という意味ではない。

 みんなに内緒。
 それは彩月との約束だから。


 それに。
 なんとなく。
 みんなにバレてはいけない。
 そんな気がする。


「結菜ちゃん、
 やっぱり椎名くんと二人で暮らしてるの?」


 いけない、バレては。
 そう思っている。

 それなのに。
 バレてしまった(⁉)。
 拓生くんに。



 どうしようっ。
 どのように言えばいいのっ、拓生くんにっ。


 だけど。
 話す、何かを。
 拓生くんに。

 そうしても。
 また言ってくるだろう、何かを。
 一輝くんが。





 考えている、そんなことばかり。

 なので忙しい、頭の中が。


 それだからだろうか。
 治まらない、なかなか。
 パニック状態。