「そういう意味だったんだ。
椎名くんの話の内容だと
結菜ちゃんと椎名くんが二人で暮らしているように聞こえたから」
よかった。
信じてくれた、拓生くん。
とりあえず、一安心。
「そうだよねっ、
一輝くんったら、
大事なところの説明が抜けてるんだからっ」
一安心したものの。
一輝くんにそう言った。
そのときは引きつってしまった、笑顔が。
それでも、なんとか見る、一輝くんの方を。
一輝くんの表情。
見える、無表情のように。
だけど。
違う、何かが。
わからない、何かは。
だけど。
何とも言えない。
どんよりとしたオーラ。
する、予感が。
とても嫌な。
「何言ってるの、結菜ちゃん」
まずいっ‼
嫌な予感。
その通り。
言ってしまいそう、何かをっ。
一輝くんがっ。
「ちゃんと本当のことを
言わなきゃダメじゃない」
これは、まずいっ。
またまた非常事態っ。
なんとか。
なんとか止めないとっ。
一輝くんの暴走をっ。
「本当のことって、
今言ったことが本当のこと、だよっ」
一輝くんの言ったこと。
そのことに、かなり動揺してしまった。
そのせいだろう。
うろたえた。
そんな感じの言い方になってしまった。
確かに。
私が言ったこと。
それは真実ではない。
それでも。
『お願いだから、
もうこれ以上、
何も言わないでっ‼』
と訴えかけた、心の中で。
一輝くんに。