一輝くん。


 一輝くんの私への想い。
 それを知っている。

 それなのに。
 他の男の子と二人で行動するなんて。



 それから。
 拓生くんの私への想い。
 それも知っている。

 だけど。
 まだ、きちんと答えを出していない。
 拓生くんに。
 そんな状態。





 一輝くんと拓生くん。
 二人に中途半端なことをしている。

 それなのに。
 安易に拓生くんと二人でお茶なんて。


「どうしたの? 結菜ちゃん」


 だから。
 用事がある。
 拓生くんにそう言って断ろう。
 カフェでお茶をすることを。
 そう思った。


「あの、拓生くん……」



「結菜ちゃん?」


 拓生くんに断ろうとした。
 そのとき。
 聞こえた、後ろから声が。


 その声を聞いて。
 思わず身体がビクッと反応した。



 その声が誰なのか。
 すぐにわかった。
 なので。
 恐る恐る振り返った、後ろを。