「結菜ちゃんの制服、
 僕が脱がせてあげる」


 一輝くんが?
 私の制服を?


「一輝くん、何を言って……」


「脱がせてもらったんでしょ」


「え?」


「拓生くんに」


「一輝くん、何を言って……」


「だから
 今度は僕が」


「違うよ‼ 一輝くん‼
 拓生くんとは本当に何もっ‼」


 いくら言っても。
 届かない、全く。
 今の一輝くんには。


 そんな状況。
 そのことに焦るばかり。



 そうしている。
 その間にも。
 一輝くんの指。
 触れた、私の制服のリボンに。

 その瞬間に。
 シュルっとほどかれた、リボンを。


 その次に。
 一輝くんはブラウスのボタンに触れ。
 上から順に外していく。

 一つ、また一つ……。





 一輝くん。

 どうして信じてくれないの。



「結菜ちゃんっ⁉」


 私の様子。
 それに気付いた一輝くんがボタンを外している手を止めた。


「……どうして……泣いてるの……?」


 少し戸惑いながら。
 そう訊いた一輝くん。



 どうして?

 どうしてだろう。


 たぶん。
 悲しかったから。

 信じてもらえなかった、一輝くんに。
 そのことが。