苦しい。

 限界、もう。



 そう思い。
 合図をした、一輝くんに。
 一輝くんの背中。
 そこをやさしくポンポンとして。


 そうすると一輝くんの唇は私の唇からゆっくりと離れ。


「……なに? 結菜ちゃん」


 一輝くんの少し冷たい声。

 その声に少しビクッとした。


「あのね、
 私、まだ制服脱いでなくて、
 くちゃくちゃになっちゃうから着替えないと」


 そう言って。
 少しでも早く。
 この場から立ち去ろうと……。


「…………」


 思っているのに。

 一輝くんは無言のまま。
 私のことを見つめている。



 どうしよう。

 こんな状況。
 それでは。
 できない、立ち去ることが。


 一体どうすれば。


 そう思いながら私も一輝くんのことを見つめる。





 どうして。

 こんなときなのに。


 ドキドキしている。
 一輝くんに見つめられて。



 ドキドキ。
 それが大きくなってくる、だんだんと。

 あまりにも大きくて。
 漏れてしまいそう。


 だから一輝くん。

 そんなにも見つめないでっ‼



「……脱がせてあげる」


 え?