「ここもでしょ」


 異常なくらい。
 感じてしまう、過敏に。



 そのせいか。
 思わず出てしまった、声が。


 だって一輝くん。

 私の耳元に息を吹きかけた後。
 耳元にキスをしてきたから。


「結菜ちゃん、
 まさか、そんな可愛い声を
 その男友達にも聞かせたの?」


「違うよ、一輝くん
 拓生くんとは何も……」


「へ~え」


「一輝くん?」


「『拓生くん』っていうんだ」


 一輝くん?


「な~んか、ムカついちゃうな~」


 え?


「だって、その拓生くんって人も
 結菜ちゃんにこんなふうに触れて、
 結菜ちゃんのあんな可愛い声を聞いたかと思うと」


「だから一輝くん、それは違……っ‼」


 言い終わる。
 その前に一輝くんが私の口を塞いだ。



 一輝くんの今までのキス。
 それとは違い。
 激しくて荒々しいキス。

 このキス。
 それは。
 今の一輝くんの気持ち。
 それを表しているかのような。


 激しくて荒くて。
 苦しくて。

 今の一輝くんのキス。

 それは。
 辛くて苦しい。