「結菜ちゃん」


 一輝くんに名前を呼ばれて。
 少しビクッとした。

 なぜなら。
 一輝くんの声のトーン。
 それが表情とイコールしているから。


「結菜ちゃん、
 友達と一緒ってメッセージをくれたよね」


「うん」


 どうしたのだろう。
 改めて訊くなんて。


「だけど」


 だけど?


「それって本当に友達だったわけ?」


 一輝くんに、そんなことを訊かれて。
 なぜかドキッとした。


 拓生くんは友達。
 だから。
 一輝くんの言葉。
 その言葉にドキッとする。
 そんな必要はないのだけど。


「うん、そうだよ。
 高校一年生のときからの友達」


 動揺している。
 そんな自分がいる。


 それでも。
 一輝くんにそう返答した。


 そうすれば。
 もう訊いてこない、一輝くんは。


「……その友達って男?」


 そんなに簡単ではなかった。


 一輝くんは訊いてきた。
 その友達は男子かどうかを。


「どうなの」


 やっぱり。
 今の一輝くん。