「まさかっ‼」


 突然、拓生くんが声を出した。

 その様子は。
 何かに気付き動揺しているよう。


「どうしたの? 拓生くん」


 どうしたのだろう、拓生くん。

 そう思いながら拓生くんのことを見ている、と。


「ひょっとして」


 拓生くんは動揺しながら再び口を開いた。


「ひょっとして結菜ちゃん、
 俺の家にくることを躊躇ってるのは……」


 すごく言いづらそうにしている、拓生くん。


「結菜ちゃん……
 ……彼氏ができたの……?」


 やっぱり言いづらかったのかもしれない。
 拓生くんが必死に振り絞って話したように見える。


 拓生くんの思いがけない質問。

 それを聞いた。
 その瞬間、驚き過ぎて声が出なかった。


「そうなの⁉ 結菜ちゃん‼」


 拓生くんが、かなり接近している。


 すごい。
 すご過ぎる。
 拓生くんの迫力が。

 あまりにもすごく。
 圧倒されそうになる。