拓生くんとの会話が済み。
彩月のところに戻った。
「なになに、
市条くん何の用だったの?」
相変わらずニヤニヤが止まらない彩月。
「何の用って。
放課後、図書館に行って一緒に勉強しないかって」
「ふ~ん、
今日も積極的ね、市条くん」
まだニヤニヤとしている彩月。
「もう、そんなんじゃないって」
「でも市条くん、
いつもはテスト前に結菜のことを勉強に誘うじゃない?
だけど、まだテスト前じゃないのに結菜のことを誘ってきた。
そろそろ市条くんも本気で結菜のことを口説くつもりなんじゃない?」
彩月にはウキウキさが滲み出ている。
「もう、彩月ったら。
拓生くんは私にそういうのじゃないから。
勉強を教えてくれているだけだから」
「まぁ、結菜はそういうつもりでも、
市条くんはどういう気持ちかわからないよ。
だって普通、女友達にここまでのことしてあげるとは思えないから」
止まらない。
彩月の拓生くんへの発言。
「それは一般論でしょ。
私と拓生くんは、そういう一般的なのとは違う絆があるんだから」
「はいはい、
わかったわかった」
拓生くんは大切な友達。
そういう気持ちを込めて説明した、彩月に。
それなのに。
彩月のこの言い方。
「もう、彩月ったら。
その言い方、絶対にわかってないでしょ」
「そんなことないよ、
ちゃんとわかったよぉ」
……彩月。
本当にわかったのかな。