拓生くんは。
 とても爽やかでイケメン。

 成績も、いつも上位をキープしている。

 性格も優しい。





 そんな感じで。
 拓生くんは容姿も性格も良くて頭も良い。
 なので当然、女子たちが放っておかない。



 拓生くんが黙っていたって。
 自然に女子たちが集まってくる。


 バレンタインデー。
 もちろんチョコレートの山。

 体育祭などの行事。
 そのときも、いつも女子たちの黄色い声援が飛んでくる。







 そんなモテモテの拓生くんと仲良くする。
 それは正直なところ精神的なエネルギーをたくさん使う。



 だから。
 拓生くんと仲良くしている。
 そのことは、できるだけ他の女子たちに知られないようにしないといけない。

 そうじゃないと。
 多数の女子たちを敵に回しそうで。





 って。
 そんなことを思っている。
 それは拓生くんに申し訳ない。
 そんな気持ちになる。

 せっかく仲良くしてくれているのに。



 二つの気持ち。
 それらと闘いながら拓生くんと接している。
 そんな私って……。

 ダメだな、私。


 本当にごめんね、拓生くん。





 だけど。
 拓生くんのこと。
 心の底から信頼できる友達。
 そう思っている。
 それは本当だから。


 これからも、ずっと。
 友達でいたい、拓生くんと。