一輝くんは横になっている身体を起こした。

 そして横になっている私のことも起こしてくれた。


 私と一輝くんはベッドの上で向かい合って座った。



 部屋の照明は消えている。
 だけど真っ暗ではない。
 窓から入ってくる月明かり。
 それが私と一輝くんをやさしく包み込んでいるから。


 私と一輝くん。
 お互い何も言わないまま見つめ合っている。


 月明かり。
 その光で一輝くんの美し過ぎる顔がはっきりと見える。





 なんだろう、この感じ。



 ここは一輝くんの部屋。

 そのはずなのに。


 今は。
 特別な空間。
 そういう場所にいる。
 そんな感じがした。



 きっと。
 この特別な空間。
 それは一輝くんが創り出しているもの。



 引き込まれそう。

 そんな空間を創り出している一輝くんに。


 これは一輝くんの魅力なの?

 一体どうしたの、私は。



 今まで弟のように可愛いと思っていた一輝くん。


 それが今では。
 それとは違う気持ちも。

 わからない、自分の気持ちが。