「しょうがないな」


 出てこない、なかなか。
 拓生くんの言葉に続く言葉が。


 そんなとき。
 拓生くんは手招きをしている、仕方なさそうに。
 木の陰に隠れている一輝くんに。










 そうして。
 来た、一輝くんは。
 私と拓生くんの目の前に。



 一輝くんと拓生くん。
 見ている、お互いがお互いを。





 流れている、微妙な空気が。
 一輝くんと拓生くんの間に。



 感じている、そんな空気を。

 だけど。
 わからない、どうしたらいいのか。


 だから。
 できない、見ていることしか。
 一輝くんと拓生くんの顔を交互に。







 そんな状況でも。
 どうにかしなければ、この空気を。
 思っている、そんなふうにも。



 だから。
 話さなければ、何か。
 そう思った。


 だけど。
 わからなかった、何を話せばいいのか。





 違う。

 話すことが思い浮かんだとしても。
 この空気を感じてしまう限り。
 できない、その中に入り込むことは。