「違うよ、結菜ちゃん、
 気を遣ってるわけじゃないよ。
 難しいというのは、
 今すぐは難しいかもしれないという意味で」


 拓生くんから。


「気持ちの整理がつくまでは、
 もう少し待ってほしいかなって」


 その言葉を聞くことができて。


「俺だって
 結菜ちゃんと全く交流がなくなるのは寂しいから」


 嬉しいし。
 ほっとした。


 ただ。
 申し訳ない、拓生くんに。
 そう思った。

 なっている、私だけが。
 嬉しい気持ちに。
 そのことが。


「でも」


 嬉しい。
 ほっとした。
 申し訳ない。

 いろいろな気持ちや思い。
 それらが混ぜこぜになっている。


 そのとき。
 続ける、話を。
 拓生くんが。

『でも』
 その続きはなんだろう。


「わからない、
 それがいつになるのかは」


 え。


「一年後、十年後、
 それとも永遠に来ないかもしれない」


 また受けてしまった、ショックを。
 拓生くんの言葉に。

 そんな資格なんてないのに。


「って、冗談だよ。
 少しは意地悪、言わせてよ」


 えっ。

 今の言葉は意地悪だったのぉ~っ。


 今の拓生くんの表情(かお)
 浮かべている、少しだけ意地悪な笑みを。


「うぅぅ~」


 ない、資格は。
 そのことに反論する。


 それだからだろう。
 出てしまった、言葉にならない声が。


「あはは」


 そんな私の様子を見て。
 笑っている、拓生くん。


「拓生く~ん」


 そんな拓生くんに。
 呼ぶしかなかった、拓生くんの名前を。


「って、
 さっきから、そこで何をしているの?」


「え?」