拓生くんと会う約束をしている前日の木曜日。


 今は昼休み。



 いつものように彩月と弁当を食べている。


如月(きさらぎ)さん」


 そのとき。
 かけてきた、声を。
 同じクラスの宮下さんが。



 驚いた、少しだけ。
 そのことに。


 というのも。
 珍しいから。
 宮下さんが声をかけてくるのは。





 宮下さんとは普段あまり話はしない。


 そんな宮下さんが。
 かけてきた、声を。
 わざわざ昼休みに。



 ということは。
 よほど重要な話なのだろうか。

 そう思うと。
 包まれてくる、妙な緊張感に。


 何を話してくるのだろう。
 宮下さんは。


「えっと、
 それでね、如月さん」


 達している。
 緊張感はピークに。


「これ聞いた話なんだけど」


 聞いた、って。

 何を?