「待って‼ 一輝くん‼」


 止めた、とっさに。
 一輝くんのことを。


「なんで、結菜ちゃん」


 一輝くんは少し疑問に思っている様子。


「だって、ここ外だよ⁉」


 誰かに見られてしまうかもしれない。


「うん、そうだよ」


 それなのに。
 なんで、そんなにも冷静なのだろう。
 一輝くんは。


「だって夜だし、
 周りに誰もいないから」


 一輝くん。

 保っている、冷静を。


「そうなんだけど……」


 って。

 言ってしまった、つい。
『そうなんだけど』と。



 そうじゃないっ。
 いけないっ、そう思っては‼
 そう思っている、強く。


 それなのに。

 なんか。
 誘導されている、一輝くんに。
 そんな気がする。


「でしょ。
 だから、いいじゃない」


 そういう問題?

 そう思っている。


 それなのに。