驚いた。
 一輝くんの言葉に。



 拓生くんと関わる。
 そのようなことを言ったら。
 一輝くんは驚く……というか血相を変えて大反対する。
 そう思ったから。


 それが。
『やっぱり、そうだよね』なんて。

 なんか、あっさりとしているというか。


「一輝くん?」


「うん?」


「『やっぱり、そうだよね』って……」


「そうすると思っていたから、
 そう言っただけだよ」


 なんで一輝くんは、そう思ったのだろう。


 もしかしてっ‼


「どうして、そうすると思ったの?」


 する、予感が。
 なんとなく嫌な。


 だから訊き方が恐る恐るな感じになってしまった。


「『どうして』って、
 だって結菜ちゃん、市条先輩から告白されてるんでしょ」


 やっぱり‼

 そういうことだった‼
 嫌な予感がしたのは‼


「一輝くんっ、気付いていたのっ⁉」


「気付いていたわけではないけど、
 なんとなくそう思っただけ」


 そう言った一輝くんの表情。
 涼しげで落ち着いた感じに見える。


「それで市条先輩には、
 いつ報告する予定なの?」


「拓生くんには、これから連絡するから、
 いつ会うかは決めていない」


 って。

 言ってしまった。
『拓生くんに会う』と。



 一輝くん、どんな反応するのだろう。


 拓生くんに報告する。
 それは。
 通話かメッセージを送る。
 というのでもいいのではないか。
 そう言うのだろうか。