「一輝だよ」


 え。

 一輝くん……。


「えぇぇ~っ‼」


「なんでそんなに驚くの?」


「だって‼」


 あの一輝くんがっ‼


 だって‼
 私が知っている一輝くんはっ。



 私が知っている一輝くん。

 一輝くんは、とてもおとなしい。
 特に幼稚園児や小学生の低学年の頃は。
 いつも彩月の後ろに隠れているような子だった。

 人見知りが激しくて。
 初めて会った人の前では。
 おびえるような様子も見せていた。

 一輝くんは、いつも下を向いていた。
 なので首が疲れないのかなと心配になるくらい。

 前髪は目にかかるくらいまで伸ばし。
 目に入らないのかなと思った。
 もし目に入ったら痛そうだな、とも。

 そんな一輝くんだけど。
 たまに見せてくれる笑顔がものすごく可愛い。

 その笑顔があまりにも可愛くて。
 思わず、ぎゅっと抱きしめたくなるくらい。

 あっ。
 それは一輝くんがまだ小さかった頃のことで。
 一輝くんが大きくなってからはさすがに……。