「……一輝くん……」
「結菜ちゃん、
いつもよりも、もっとかわいい声」
え?
いつもと違う? 声。
「そんなにもかわいい声で名前を呼ばれると、
もう止めることなんてできない」
違うの、一輝くん。
止めよう、一輝くんのことを。
そう思って。
かけた、声を。
それなのに。
逆効果だったなんて。
「一輝くん」
だけど。
かけてみた、もう一度。
一輝くんに声を。
「なぁに、結菜ちゃん」
「お風呂」
「うん?」
「先入ってきていいよ?」
そう言い、やさしくポンポンとした。
一輝くんの背中を。
「そんなことを言って
僕の邪魔をしようとしてるの?」
「そんなことないよ。
早くお風呂に入って
早く一輝くんと一緒に寝たいだけだよ」
「…………」
一輝くん?
なんで無言なの?
「一輝くん?」
話して、何かを。