「じゃあ」


「じゃあ?」


「僕と一緒にお風呂に入ってくれたら言ってあげる」


「えぇっ⁉」


 やっぱり‼


 あるだろう、何か。
 あの笑みは。

 そう思っていたら‼



 だけど。
 まさか、そんなことを言ってくるとは‼





 一輝くんっ。
 君は、いつからそんなにもずる賢くなったのかなぁ⁉


 本当に今日の一輝くんはっ。
 意地悪とずる賢さのオンパレードだよ⁉


「ゆ~なちゃん」


 なによ‼

 そんなにも笑顔になって‼


 一輝くんの~っっ‼


「もういい」


「結菜ちゃん?」


「一輝くんなんか知らない‼」


 とってしまった、ものすごくふてくされた態度を。
 二つ年下の男の子を相手に。


「結菜ちゃん?」


 少し困っている様子の一輝くん。



 だけど。

 いい‼ 困らせておけば‼


 私の気持ちも知らないで‼


「結菜ちゃん」


 あれ?

 一輝くん?



 ふてくされ過ぎたかな?

 一輝くんがしょんぼりしている?


 そんなつもりじゃなかったのだけど。





 一輝くんのしょんぼりした表情(かお)
 そんな表情(かお)を見ていると。

 かわいそう。
 そう思えてくる。


「一輝くん?」


 だから。
 そっと手をのばし。
 触れた、やさしく。
 一輝くんの頬に。


「ごめんね、一輝くん。
 そんなつもりじゃ……」


 って。

 えっ⁉


 一輝くん⁉