「あとで」


「え?」


「続きは、また後で」


「一輝くん」


「今日、一緒に寝よ、結菜ちゃん」


 今までなら。
 一輝くんと一緒に寝る。
 そのことは少し抵抗があった。

 だけど。


「うん」


 している、返事を。
 素直に。

 そんな自分がいる。


「いい子だね、
 結菜ちゃんは」


 一輝くんはそう言うと。
 私の頭をやさしくポンポンとしている。


 そのあと。
 私の頬にやさしくキスをした。



 やばい。

 やば過ぎる。
 幸せ過ぎて。


 いいのだろうか、本当に。
 こんなにも幸せで。



「結菜ちゃん」


 入り込んでいた、自分の世界に。


 だから驚いた。
 一輝くんに名前を呼ばれて。



 今日は入ってしまう、何回も。
 自分の世界に。


「とりあえず夕飯の準備をしよう」


「そ……そうだね」



 * * *


 夕食を食べ終え。
 今は一輝くんとソファーに座ってテレビを観ている。

 手を握り合い寄り添いながら。


「ねぇ、結菜ちゃん」


 そんなとき。
 一輝くんが私の名前を呼んだ。


「なぁに、一輝くん」


「僕、お風呂に入ってくる」


「うん」


 ……あれ?



 一輝くん、お風呂に入ってくると言ったはず。
 それなのに。
 立とうとしない、ソファーから。


 どうしたのだろう。





 って。

 えぇっ⁉