「それだったら、
 僕だって負けてない」


「え?」


「僕も幼稚園の頃から
 ずっとずっと結菜ちゃんのことが好きだから」


『幼稚園の頃から』
『ずっとずっと好き』
 一輝くんの言葉を聞いて嬉しい気持ちになる。


 想ってくれている、そんなにも前から。
 それは、ものすごく嬉しい。

 それと同時に。
 照れくさくもなってくる。



 嬉しさと照れくささ。
 それらが混ざり合いながら見る、改めて一輝くんの顔を。


 一輝くんも。
 している、照れくさそうに。







 そんな一輝くんのことを見ていると。
 言った、一輝くんは。
 頬を少しだけ赤く染めて。
「そんなにも可愛い結菜ちゃんに見つめられると、
 どうなるかわからなくなってくる」と。



 その後すぐ。
 一輝くんの顔が私の顔に近づき。


 今度は、さっきとは違い。

 甘くてやさしいキスを。





 ダメなの。


 私は。

 悔しいくらい。

 一輝くんじゃないと。



 抱きしめられるのも。
 触れられるのも。
 キスも。

 すべて一輝くんじゃないとダメなの。





 好き。

 大好き、一輝くん。



 溺れていく、どんどん。
 一輝くんに。



「……一輝くん……?」


 酔っている、一輝くんに。


 そのとき。
 離れた、突然。
 一輝くんの唇がやさしく。



 驚いた、そのことに。

 それもある。
 だけど。
 足りていない、まだまだ。
 一輝くんのことが。
 そう感じることの方が強くて。