「結菜ちゃん、
 どうして目を逸らすの?」


 だって。


「僕を見て、結菜ちゃん」


 訊けない。


「結菜ちゃん」


 あの女の子は。
 一輝くんにとって。
 どういう存在なのか、なんて。


 怖い、訊くことが。







 そう思っていると。

 それは、あまりにも突然のことで。

 驚きを超えて。
 わからなくなってしまっている、なにがなんだか。


 なぜなら。
 挟まれた、頬が。
 一輝くんの両手に。

 その後すぐ向かされた、一輝くんの方に。





 そして。

 一輝くんの唇が私の唇に……。



 なんて激しいの。

 激しくて激しくて。
 息ができないくらいのキス。


 かなり強引で。
 少し怖いくらい。



 もうダメ。


 このままだと。

 意識が……。



「……話す気になった?」


 一輝くんの唇が私の唇から静かに離れ。
 一輝くんは静かにそう言った。


 朦朧としている、意識が。

 そんな私の身体を支えてくれている。
 一輝くんが。


「結菜ちゃんが話さないなら
 まだ続けるけど?」


 やっぱり。

 意地悪だ。
 今日の一輝くんは。


 仕方がないから。
 訊いてあげる。


「今日」


「うん?」


「一輝くんと一緒にいた女の子は、
 一輝くんと……どういう関係なの……?」