あ。

 でも。

 今のところ。
 その男の子は。

 玄関のドアを開け。
 そのまま、こちらを見ている。

 それだけで、まだ何も危害は加えていない。


 だから。
 こちらが丁重に接する。
 そうすれば、なんとかなるかも?


「あの……」


 まずは。
 その男の子に一言だけ声をかけてみた。

 そのあと。


「お部屋……お間違いじゃありませんか……?」


 恐る恐る、そう訊いてみた。


「…………」


 えっ?

 まさかの無言⁉

 うそでしょっ⁉


 だとしたら。
 この奇妙な状況をどう解決すればいいの⁉


「あの……」


 これ以上。
 何を言えばいいのか。
 わからなくなっていた。


 こんなとき。

 こんなとき。
 一輝くんが来てくれれば。

 少しは心強いのかも。


 でも。
 一輝くんは夕方にしか来ない。



 だけど。

 それでも。


 一輝くんっ‼

 早くっ‼

 ここに来てー‼