「女の子だけど」


「そうなんだ」


 わかっていた。
 なんとなく。

 どういう気持ちになってしまうのか。
 一輝くんから直接『女の子』と聞いてしまったら。


 だから覚悟はしていた、ある程度。





 それなのに。

 ダメだった。


 苦しい、胸が。

 できなくなりそう、呼吸が。

 身体も。
 なってしまっている、抜けたみたいに。
 全身の力が。



 できていなかった、全く。
 覚悟なんて。


 聞いてしまった。
 一輝くんから直接『女の子』と。

 その瞬間。
 起こしてしまった。
 自分が想定している。
 それ以上のショックを。







 だけど。

 頑張らなくては。


 自分の部屋に戻る。
 それまでは。


「……じゃあ、
 部屋に戻るね」


 ショックで震えそうな声。
 それを必死に抑え。

 私の腕を掴んでいる一輝くんの手。
 その手を離そうとした、ら。