「なんで行っちゃうの?」
一輝くんから離れ。
戻ろうとしている、自分の部屋に。
そんなとき。
掴まれた、腕を。
一輝くんに。
「なんで僕に何も訊かないで行っちゃうの?」
思った、なんとなく。
一輝くんの言動で。
「逃げるの?」
やっぱり。
バレてしまっている⁉
一輝くんに。
訊きたい。
今日のこと。
一輝くんに。
そのことが。
「本当は
訊きたくて訊きたくて
たまらないくせに」
やっぱり‼
バレてしまっている‼ 完全に‼
「何のこと?」
一輝くんにバレてしまい。
焦っている、ものすごく。
そんな中。
ごまかそうとする、必死に。
「ごまかしてもムダ」
だけど。
ごまかそうと。
すればするほど。
「顔に出てる」
見破られてしまう。
一輝くんに。
「さっきから結菜ちゃん、
辛そうな表情してる」
驚いた。
一輝くんにそう言われて。
なかった、自覚が。
今の私。
辛そうな表情をしている。
そのことに。
「気のせいじゃない?」
だけど。
あった、抵抗が。
なんとなく。
そういう表情をしている。
それを認めるということ。