「え……?」


 わからない、もう。
 どう返答すればいいのか。


「だって、さっきから結菜ちゃん、
 ずっと立って僕のことを見てるから」


 一輝くんに言われ。
 そうだったと気付き。
 思った、それと同時に。
『しまった‼』と。


 だけど。

 あれだけ見続けていた。

 だから仕方がないのかもしれない。
 一輝くんに気付かれても。


「僕に何か訊きたいことでもあるの?」


 鋭い、本当に。
 一輝くんは。


 訊きたいことがある、一輝くんに。
 そう思っている。

 そのことを。
 気付かれている、完全に。


「え……えっと……」


 それは。
 ある、訊きたいことは。


「なに?
 僕に訊きたいことって」


 というか。

 一輝くん。

 私が一輝くんに訊きたいことがある。
 というふうに決めつけているような。





 確かに。
 ある、訊きたいことは。



 だけど。

 それは。
 訊けないことだから。
 彼女じゃないと。