次の日からも私は、彼の病室を毎日訪れた。
学校を休学という形で休んでいる彼。クラスメイトたちには担任が、病気で入院中と詳しい詳細は言わずに話していた。
当然ざわつき出すクラスメイト。転校してきて以来、太陽はすっかりクラスに馴染んでいた。最初のインパクトはなかなかだったが、普通にも常に周りには男友達が大勢いた。
そんな太陽の友人たちの顔は、わかりやすく青ざめていた。
中でも太陽と1番仲のいいクラスのムードメーカー的存在の柏木くんは、担任にしがみついて太陽のことを詳しく聞き出そうとしていた。
今にも簡単に砕け散ってしまいそうなガラスの表情を顔に貼り付けたまま。
先生にだって立場があるのは、私にもわかる。とうとうこれ以上担任に問い詰めても詳細が聞けないとわかったのか、諦めた柏木くんはその場に崩れ落ちた。
生きている人間が、人形と化したみたいに崩れ落ちる様は見ていられなかったらしい。
私はこの話を未來伝えに聞いたが、その様子は簡単に想像できる。クラスメイトが病気で入院していると知って、悲しくない人なんてそうそういない。
例え、関わりが全くなかったとしても多少何かを思うことはあるだろう。
それが、どんな感情であれ彼に向けられていることに違いはない。
「ねぇ、あーちゃんはさ、太陽が難病だってこと知ってたの?」
今日は珍しく保健室でお昼ご飯を食べているあーちゃん。久しぶりにお弁当を作ってきたらしいが、料理の方はどうやら苦手らしい。
卵焼きなんかは、黄色よりも黒の面積の方が大きい気がする。新たなあーちゃんの意外な一面を知れて、ちょっとだけ嬉しい。
完璧人間なんていないということを、身に染みて実感できた。
「んー、知ってはぁよ〜」
美味しそうとは言えない卵焼きを口に詰め込んで話す彼女。非常に行儀が悪いが、こういっただらしない姿を見せるのは、基本的に私の前だけ。
私以外がいるときは、超ハイスペック人間と化すあーちゃんは見ていて面白い。
時として、ハイスペック人間もだらけたい瞬間があるらしい。私と比べたらその時間は、ものすごく短いだろうけれど。
「そうだったんだ・・・」
「まぁ、養護教諭だからね。何かあったときに知っておかないと大変だから」
「知ってると思うけど、太陽の病気が進行してるの。もう容姿が40代くらいなの」
「40代ね・・・信じられないわね。そんな残酷な病気があるなんて未だに信じられない」
「どうして私たちの運命は、こんなにも残酷なんだろう」
「そうね。今日も放課後会いにいくの?」
「もちろん!毎日会いに行っても顔を見せてくれることはないけど、最近は太陽からも話すくらい元気になってくれたんだ」
「それはいい傾向ね。私も太陽くんと同じ病気になって、ある日急に年老いたら彼氏に姿を見せるのが怖くなるのは良くわかるわ」
「そうだよね・・・えっ。あーちゃん、今なんて言った?」
「だから、怖くなる・・・」
「違うそこじゃなくて、彼氏って言わなかった?」
「言ったけど?」
「え、あーちゃんって彼氏いたの!?」
「いるよ」
あーちゃんに彼氏がいることくらい、何も珍しいことではない。ただ、彼女というハイスペックな高嶺の花を手に入れた男が、どんな人なのかはかなり気になる。
「ど、どうして今まで黙ってたの!」
「だって・・・聞かれなかったし」
「もー! 相変わらず、意地悪なんだから!」
「ごめんね〜」
昼休み終了の鐘が鳴るまで、恋バナに花を咲かせたのは言うまでもない。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、5時間目の大っ嫌いな数学を迎えるのだった。
学校を休学という形で休んでいる彼。クラスメイトたちには担任が、病気で入院中と詳しい詳細は言わずに話していた。
当然ざわつき出すクラスメイト。転校してきて以来、太陽はすっかりクラスに馴染んでいた。最初のインパクトはなかなかだったが、普通にも常に周りには男友達が大勢いた。
そんな太陽の友人たちの顔は、わかりやすく青ざめていた。
中でも太陽と1番仲のいいクラスのムードメーカー的存在の柏木くんは、担任にしがみついて太陽のことを詳しく聞き出そうとしていた。
今にも簡単に砕け散ってしまいそうなガラスの表情を顔に貼り付けたまま。
先生にだって立場があるのは、私にもわかる。とうとうこれ以上担任に問い詰めても詳細が聞けないとわかったのか、諦めた柏木くんはその場に崩れ落ちた。
生きている人間が、人形と化したみたいに崩れ落ちる様は見ていられなかったらしい。
私はこの話を未來伝えに聞いたが、その様子は簡単に想像できる。クラスメイトが病気で入院していると知って、悲しくない人なんてそうそういない。
例え、関わりが全くなかったとしても多少何かを思うことはあるだろう。
それが、どんな感情であれ彼に向けられていることに違いはない。
「ねぇ、あーちゃんはさ、太陽が難病だってこと知ってたの?」
今日は珍しく保健室でお昼ご飯を食べているあーちゃん。久しぶりにお弁当を作ってきたらしいが、料理の方はどうやら苦手らしい。
卵焼きなんかは、黄色よりも黒の面積の方が大きい気がする。新たなあーちゃんの意外な一面を知れて、ちょっとだけ嬉しい。
完璧人間なんていないということを、身に染みて実感できた。
「んー、知ってはぁよ〜」
美味しそうとは言えない卵焼きを口に詰め込んで話す彼女。非常に行儀が悪いが、こういっただらしない姿を見せるのは、基本的に私の前だけ。
私以外がいるときは、超ハイスペック人間と化すあーちゃんは見ていて面白い。
時として、ハイスペック人間もだらけたい瞬間があるらしい。私と比べたらその時間は、ものすごく短いだろうけれど。
「そうだったんだ・・・」
「まぁ、養護教諭だからね。何かあったときに知っておかないと大変だから」
「知ってると思うけど、太陽の病気が進行してるの。もう容姿が40代くらいなの」
「40代ね・・・信じられないわね。そんな残酷な病気があるなんて未だに信じられない」
「どうして私たちの運命は、こんなにも残酷なんだろう」
「そうね。今日も放課後会いにいくの?」
「もちろん!毎日会いに行っても顔を見せてくれることはないけど、最近は太陽からも話すくらい元気になってくれたんだ」
「それはいい傾向ね。私も太陽くんと同じ病気になって、ある日急に年老いたら彼氏に姿を見せるのが怖くなるのは良くわかるわ」
「そうだよね・・・えっ。あーちゃん、今なんて言った?」
「だから、怖くなる・・・」
「違うそこじゃなくて、彼氏って言わなかった?」
「言ったけど?」
「え、あーちゃんって彼氏いたの!?」
「いるよ」
あーちゃんに彼氏がいることくらい、何も珍しいことではない。ただ、彼女というハイスペックな高嶺の花を手に入れた男が、どんな人なのかはかなり気になる。
「ど、どうして今まで黙ってたの!」
「だって・・・聞かれなかったし」
「もー! 相変わらず、意地悪なんだから!」
「ごめんね〜」
昼休み終了の鐘が鳴るまで、恋バナに花を咲かせたのは言うまでもない。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、5時間目の大っ嫌いな数学を迎えるのだった。