「え!? ちょっ!! 斗和!?」
「何だよ?」
「何だよじゃないよ……お、重いから降ろして!」
予想もしていなかった斗和の行動に驚きを隠せない恵那は慌てふためきながら降ろしてとお願いするも、
「全然重くねぇよ。寧ろ軽過ぎ。つーか立てねぇんだから大人しく運ばれとけ」
あっさり却下され、お姫様抱っこの形で運ばれて行く。
「恵那さん! 斗和さん!」
するとそこへ、顔が少し腫れ、青アザが痛々しく見える忍が駆け寄って来た。
「忍くん!」
「恵那さん、斗和さん、ホントすいませんでした!」
「そんなっ! 忍くんは悪くないよ? 謝らないで」
「そうだ、寧ろお前は良くやってくれたよ。サンキューな、忍」
申し訳なさそうに平謝りする彼とは対照的に気にしないでという恵那や良くやったと褒める斗和に、忍は頭を上げて涙ぐんでいた。
「そんな……俺なんて全然……俺がもっと強ければこうして恵那さんが危険に晒される事なんて無かったのに……」
「忍くん……私は大丈夫だよ? それにあの時、必死に守ろうとしてくれた忍くんは凄く格好良かったよ。そんなに怪我して……痛くない?」
「こんなの、全然平気っすよ」
「守ってくれて、ありがとう忍くん」
抱き抱えている恵那が忍を褒めている光景を間近で見ていた斗和の心は、再びザワつく。
恵那の事も忍の事も大切で、二人が無事で良かった、そう思っているのに、互いに心配し合い、恵那が忍を心配したり褒める度、モヤモヤした黒い渦のようなモノが、斗和の心を支配する。
そして、そんなドス黒い感情に抗えなくてここ暫く恵那と忍から距離を置いていた斗和。
その結果二人を危険な目に遭わせた事を、心底後悔していた。
「何だよ?」
「何だよじゃないよ……お、重いから降ろして!」
予想もしていなかった斗和の行動に驚きを隠せない恵那は慌てふためきながら降ろしてとお願いするも、
「全然重くねぇよ。寧ろ軽過ぎ。つーか立てねぇんだから大人しく運ばれとけ」
あっさり却下され、お姫様抱っこの形で運ばれて行く。
「恵那さん! 斗和さん!」
するとそこへ、顔が少し腫れ、青アザが痛々しく見える忍が駆け寄って来た。
「忍くん!」
「恵那さん、斗和さん、ホントすいませんでした!」
「そんなっ! 忍くんは悪くないよ? 謝らないで」
「そうだ、寧ろお前は良くやってくれたよ。サンキューな、忍」
申し訳なさそうに平謝りする彼とは対照的に気にしないでという恵那や良くやったと褒める斗和に、忍は頭を上げて涙ぐんでいた。
「そんな……俺なんて全然……俺がもっと強ければこうして恵那さんが危険に晒される事なんて無かったのに……」
「忍くん……私は大丈夫だよ? それにあの時、必死に守ろうとしてくれた忍くんは凄く格好良かったよ。そんなに怪我して……痛くない?」
「こんなの、全然平気っすよ」
「守ってくれて、ありがとう忍くん」
抱き抱えている恵那が忍を褒めている光景を間近で見ていた斗和の心は、再びザワつく。
恵那の事も忍の事も大切で、二人が無事で良かった、そう思っているのに、互いに心配し合い、恵那が忍を心配したり褒める度、モヤモヤした黒い渦のようなモノが、斗和の心を支配する。
そして、そんなドス黒い感情に抗えなくてここ暫く恵那と忍から距離を置いていた斗和。
その結果二人を危険な目に遭わせた事を、心底後悔していた。