「俺と恵那が行動を共にしてる事で、最近付き合ってるとかそういう噂をよく耳にすると思うが、別に俺らはそういう仲じゃねぇ。それはみんな知ってるな? けど、学校やクロスの連中なんかは噂を鵜呑みにするかもしれねぇ。そうなると恵那に危険が及ぶ可能性が十分にある。そこでだ、お前らには常に恵那を気にかけて欲しい。何か危険な状況に陥ったり、恵那に関して何か聞いたりしたら、すぐに教えて欲しいんだ。頼めるか?」


 斗和の話を断るメンバーなど居る訳が無いのだが、これは強制では無いと斗和は付け足した。

 メンバーは勿論恵那がアイドルである事も知っているし、斗和にとって大切な存在である事も十分心得ている。

 それに、今はアイドルでは無いとしても、人気アイドルだった恵那を守れるとあれば、断る者など居るはず無いのだ。


「勿論です! 恵那さんの事は俺らも気をつけます!」
「そうっすよ! 当たり前の事です!」
「みんなで恵那さんを守りましょう!」


 恵那を守るという使命感が生まれたメンバー一同は口々に言いながら一致団結して盛り上がっていた。

 その光景に安堵した斗和はすぐ横に控えていた忍に声を掛ける。


「忍」
「何ですか?」
「お前には、俺や恵那となるべく行動を共にして欲しい。アイツもお前には一番心を許してるっぽいからな」
「俺ですか? 勿論、俺で良ければやらせて下さい」
「二人で居るより三人で居る方が変な噂も無くなるだろうし、頼むわ」
「了解しました」


 こうしてメンバーには常に恵那を気にかける事、何かあれば率先して守る事を周知し、忍には自分や恵那と可能な限り行動を共にするよう頼み、あらゆる危険から恵那を守る手筈を整えた。