「私もね、甘えるの、すき、」
〝甘える〟のを好きと伝えた。
本当の気持ちを、
言うのが怖いから言えないのに。
「っ、あー、早く僕のものにしたい。
でも、今は寝てていーよ、ひらり」
そう言って、
夜紘くんは、私を寝かしつけるように。
そっと、
──────くちびるにキスを落とした。
夜紘くんのくちびるは、
私のズルい気持ちも、本当の気持ちも。
隠して蓋をするには、充分過ぎて。
ふわり、ゆらり、ひらりと、睡魔が襲う。
きっと、時々ある、〝眠れない夜は、〟
夜紘くんの事を、
独り占めしたいっていう、私の独占欲。
いつか、〝眠れない夜〟を克服出来たとき、
──────夜紘くんに好きを伝えるからね。
fin.