「俺、アイドルになるんだ」

高校入学より少し前、花冷えの日だった。

「……夢を叶えたんだね」
「これからだろ」

ニカリと笑う友人に、僕はなんて返したか覚えていない。

数年後、アイドルグループは解散していた。
彼の今を僕は知らない。

ただ、彼の瞳の輝きが、脳にひどく焼き付いている。


#140字小説
『アイドルな友人への憧憬』