スターティングブロックに足をかける。
「Set」
 


――――パァッン。

飛び出す。
腕を振る。
足が動く。
頭は真っ白。
視界はクリア。
風の中を身体が突き抜けていく。

そして――。

「先輩!」
タオルを抱えたマネージャーに受け止められる。
「記録更新です……っ!」
足かけ、五年の達成だった。

#140字小説
『足かけ』
※全話参照。