混ざって溶けて、元通り



「泣かないで、真希ちゃん。
私たちはね、本来の姿に戻るだけなの、」

「っ、戻るって言われても、
麻紀さんが犠牲になるみたいでっ、」



〝私は受け入れられません〟



言葉を言い切る前に、
──────ギュッと握られた手。



そして...........................



「私が、〝あなた〟から出たのは偶然だった
でも、〝あなた〟に戻るのは必然なの」



麻紀さんはそう言うと。



突然、私たちの周りが、
キラキラと輝いて、ふわっと風が吹いた。



──────その瞬間。



〝あなた〟が私の体のなかに入って、
混ざって溶けて、元通りになった感覚を覚えた。



〝あなた〟の存在は消えてしまったけど。



〝あなた〟の存在も記憶もぜんぶ、
私の体のなかで、ずっと生きていると思うんだ。





fin.