第三幕
「どう? 入部届書き終わった?」
「書き終わったよ。提出しに行こうか」
共にサッカー部へと入部することを決意した僕等は昼休みの時間を用いて入部届を書いていた。
入部届は入部を希望している部活動の顧問に直々に提出しなければならない。
そして顧問と理事長が印鑑を押すことによって形式に入部が可能らしい。
「榎下先生は居らっしゃいますか?」
職員室にてサッカー部の顧問である榎下先生を呼び、入部したい旨を伝えて入部届を提出する。
「恐らく、明日には了承が下りるだろうからそれまでは待機しておいて下さい。お二人の実力は入学前から既に存じておりました。故に今日は入部体験として練習に参加してもらって構いません」
「分かりました。有難う御座います。お忙しい中、お時間を割いていただき有難う御座いました」
軽く頭を下げて扉を閉じる。
「そろそろ五時間目が始まるし教室へと戻ろう」
「うん。部活で何かあったら助けてね!」
「マネージャーが選手に助けを乞うの?」
「あ、確かに‥‥‥と、取り敢えずお互い頑張ろうね!」
午後の授業と帰りのホームルーム諸々を終えた僕と花咲さんは体操服姿でグラウンドへと赴く。
「周りはユニフォーム姿なのに私達は体操服姿‥‥‥絶対に浮くじゃん!
「確かに浮くね」
「此方へと来て軽い自己紹介をして下さい」
遼遠から榎下先生に呼ばれ、グラウンドの中央へと向かいながら自己紹介文を考える。入学初日の様な真似はしたくない。
「経歴を話せば良いのかな?」
「そうだろうね。間違っても好きな食べ物なんて話さないでね」
「流石の私でもそんな真似はしないよ」
既に全ての部員が並んでおり準備万端だということが見て受け取れる。
僕よりも一歩前に踏み出て花咲さんから話し出す。
「花咲日菜です。経歴は中学三年生の頃に高円宮杯JFA全日本Uー十五サッカー選手権大会で準優勝しました。主な経歴はそのぐらいです。ですが諸事情のため選手としてでは無くマネージャーとして頑張らせて頂きます」
珍しく敬語を使っている真面目な姿につい感心してしまう。今度は僕の番だ。
「藤原涼介です。主な経歴は花咲さん同様、中学三年の頃に全中学校サッカー大会で準優勝を取得しました。準優勝を掴み取れたことは大変喜ばしいことですが満足はしていません。ですのでこのチームで全国大会を優勝出来るように目一杯努力させて頂きます。実力面などでまだまだ不束者ですがどうぞ宜しくお願いします」
「校則上の都合、今日は体験入部だが今の二人の話を聞いて熱意は十分過ぎる程伝わったと思う。きっと、いや二人が入部することは確定しているようなものだ。だから早速だが藤原君は部員と共にアップを。花咲君はそうだな……雲形君。君が花咲君にマネージャーの仕事内容を教えてくれるか?」
「分かりました」と雲形さんと思わしき人が返事をする。
「というわけでこれより本日の練習を開始します」
「宜しくお願いします!」
士気は十分高い。少し緊迫感のある雰囲気が懐かしく、居心地良く思う。
「涼介くん。頑張ろうね!」
そう言いながら拳を突き出してくる。
それに呼応するかのようにゴツンと音を立てながら拳を突き返してぶつける。
「うん。頑張ろう」
何時も眩しい程の笑顔を向けながらこうして今も背中を押してくれるこの人を、花咲日菜を好きになりつつある自分が居る。
でもこの思いはサッカーにおいては不必要だ。
この気持ちはしまっておこう。せめてことの一端が落ち着くまでは。
「どう? 入部届書き終わった?」
「書き終わったよ。提出しに行こうか」
共にサッカー部へと入部することを決意した僕等は昼休みの時間を用いて入部届を書いていた。
入部届は入部を希望している部活動の顧問に直々に提出しなければならない。
そして顧問と理事長が印鑑を押すことによって形式に入部が可能らしい。
「榎下先生は居らっしゃいますか?」
職員室にてサッカー部の顧問である榎下先生を呼び、入部したい旨を伝えて入部届を提出する。
「恐らく、明日には了承が下りるだろうからそれまでは待機しておいて下さい。お二人の実力は入学前から既に存じておりました。故に今日は入部体験として練習に参加してもらって構いません」
「分かりました。有難う御座います。お忙しい中、お時間を割いていただき有難う御座いました」
軽く頭を下げて扉を閉じる。
「そろそろ五時間目が始まるし教室へと戻ろう」
「うん。部活で何かあったら助けてね!」
「マネージャーが選手に助けを乞うの?」
「あ、確かに‥‥‥と、取り敢えずお互い頑張ろうね!」
午後の授業と帰りのホームルーム諸々を終えた僕と花咲さんは体操服姿でグラウンドへと赴く。
「周りはユニフォーム姿なのに私達は体操服姿‥‥‥絶対に浮くじゃん!
「確かに浮くね」
「此方へと来て軽い自己紹介をして下さい」
遼遠から榎下先生に呼ばれ、グラウンドの中央へと向かいながら自己紹介文を考える。入学初日の様な真似はしたくない。
「経歴を話せば良いのかな?」
「そうだろうね。間違っても好きな食べ物なんて話さないでね」
「流石の私でもそんな真似はしないよ」
既に全ての部員が並んでおり準備万端だということが見て受け取れる。
僕よりも一歩前に踏み出て花咲さんから話し出す。
「花咲日菜です。経歴は中学三年生の頃に高円宮杯JFA全日本Uー十五サッカー選手権大会で準優勝しました。主な経歴はそのぐらいです。ですが諸事情のため選手としてでは無くマネージャーとして頑張らせて頂きます」
珍しく敬語を使っている真面目な姿につい感心してしまう。今度は僕の番だ。
「藤原涼介です。主な経歴は花咲さん同様、中学三年の頃に全中学校サッカー大会で準優勝を取得しました。準優勝を掴み取れたことは大変喜ばしいことですが満足はしていません。ですのでこのチームで全国大会を優勝出来るように目一杯努力させて頂きます。実力面などでまだまだ不束者ですがどうぞ宜しくお願いします」
「校則上の都合、今日は体験入部だが今の二人の話を聞いて熱意は十分過ぎる程伝わったと思う。きっと、いや二人が入部することは確定しているようなものだ。だから早速だが藤原君は部員と共にアップを。花咲君はそうだな……雲形君。君が花咲君にマネージャーの仕事内容を教えてくれるか?」
「分かりました」と雲形さんと思わしき人が返事をする。
「というわけでこれより本日の練習を開始します」
「宜しくお願いします!」
士気は十分高い。少し緊迫感のある雰囲気が懐かしく、居心地良く思う。
「涼介くん。頑張ろうね!」
そう言いながら拳を突き出してくる。
それに呼応するかのようにゴツンと音を立てながら拳を突き返してぶつける。
「うん。頑張ろう」
何時も眩しい程の笑顔を向けながらこうして今も背中を押してくれるこの人を、花咲日菜を好きになりつつある自分が居る。
でもこの思いはサッカーにおいては不必要だ。
この気持ちはしまっておこう。せめてことの一端が落ち着くまでは。