結局、そのまま冒険者ギルドまでギース達はついてきた。ギース達もクエストの報告をする必要があるのだろう。ついてきたのは何かの流れとかだろう。
そう思ったので、俺は特に何も考えずに普段通りにギルドに入った。
「おう、アイク! お疲れさん!」
「おっ、アイク達のパーティが帰ってきたぞ。またすぐにクエスト終わらせてきたんだろ? ははっ、さすがアイクだな」
「アイク今帰りか? この後どうよ、一杯飲まないか?」
「おう、お疲れさん。ははっ、ありがとうな。とりあえず、クエストの報告したらな」
俺のクエストからの帰りを待っていたギルドの仲間たちは、俺にそんな言葉をかけてくれていた。
隣町でクエストをこなしていく中で、徐々に仲良くなったギルドの仲間たちは気さくな奴らが多く、俺を受け入れてくれていた。
ギルド仲間と一緒に酒を飲んだりすることもあり、十分に友達と呼べるに値する存在になっていた。
「は? あ、アイクがギルドメンバーと打ち解けている?」
「え、こんなに人気なの? アイクって」
「……ちっ」
後ろからギース達の声が聞こえてきたが、俺は特に反応することはなかった。
前にいたギルドでの俺の立ち位置を知っていれば、当然そんな反応にもなると思ったからだ。
俺がそのままクエストの報告に行こうとカウンターに向かおうとすると、後ろから別の話声が聞こえてきた。
「おっ、新しく来た新人パーティじゃん! あれ? アイク達と知り合いだったのか?」
振り向くと、そこにはこのギルドでよく俺と一緒にいる剣士のダンがギース達に話しかけていた。
話しかけられた三人は気まずそうに顔を背けていたが、その空気に耐えられなくなったエルドが重い口を開いた。
「元々、同じパーティだったんだ……」
「え? そうだったのかよ! なんだ、奇跡的な再開って感じか?」
「いや、そう言う訳でもないんだけどな」
なんとか誤魔化そうとしているエルドは煮えたぎらない返答をするだけだった。すると、そんなエルドのもとにルーナがそっと近づいていった。
「アイクを無能扱いして、パーティから追い出して殺そうとしたのだから、奇跡的と言えば奇跡的ではないのか?」
すっとぼけるような口調でルーナはそんな言葉を口にした。そのルーナの声はやけに響いて、その声はギルドに響き渡ったようでギルドの中が急に静かになった。
そして、その静寂を破ったのは怒りの感情で揺れているダンの言葉だった。
「は? なんだそれ、アイクを無能扱い? ていうか、殺そうとしたのか?」
「いや、その……ギルドに依頼されて……」
「ギルドに依頼されたからって、仲間を殺すのかよ? おいっ! お前仲間を何だと思ってんだ!!」
「お、おい、ダン!」
そして、ダンはそのままエルドに掴みかかってしまった。本気で怒った顔をして掴みかかっているダンを振りほどこうとその手首を掴んだが、ダンはその手を緩めようとしなかった。
「止めるな、アイク! 許せねーよ!! こいつっ、俺のダチを殺そうとしたんだ! 許せるわけないだろ!!」
ダンは剣士の中でも力が強い。そのダンが本気で掴みかかると、エルドはその場に押し倒されてしまった。
ダンが振りかぶった腕を止めさせようとしたとき、俺のその腕をルーナが止めてきた。
「る、ルーナ?」
俺がダンの腕を止めなかったので、ダンの拳はそのままエルドの顔を殴りつけてしまった。鈍い音がギルドに響き、殴られたエルドの唇からは血が流れていた。
「人の命を何だと思ってんだ!」
ダンはエルドの胸倉を揺すりながら二発目を入れようと拳を構えていた。俺がそれを止めようとすると、ルーナは俺の手首を強く掴んで殴られているエルドに視線を向けていた。
「よく見ておけ。アイクの命が危なかったと分かって、これだけ本気で怒ってくれる人がいるということをよく理解しておけ。アイクは自分の命を軽く見過ぎの所があるからな」
ギースとリンはエルドが殴られているのを見て止めようとせず、ただ視線を逸らしているだけだった。
そんな二人の態度を見て、ルーナの手の力がさらに強くなった気がした。再びエルドの方に視線を戻すと、ルーナは微かに震えるような声で言葉を漏らした。
「そして、あれだけの怒りを覚えているのはダンだけではないことを理解しておけ」
その声を聞いて、ルーナの怒りの一部を見た気がした。そして、ギース達に本気で切りかかろうとしていたアリスのことを思い出した。
二人も今のダン以上に怒りの感情を抱いていてくれたのだろう。そう思うと、自分のためにそこまで感情を動かしてくれることに少しだけ嬉しく思ってしまった。
自部の価値を見誤るな。昔、ルーナにそんなこと言われたことを思い出した。
まだ俺は自分を少し卑下してしまった部分があったのかもしれない。そんなことを心の中で少しだけ思ったりした。
ダンが殴られ続けても周りはそれを止めることなく、ギルドの職員が駆けつけてくるまでエルドは殴られ続けていた。
そしてその後、ギース達はギルドから摘まみだされたのだった。
きっと、ギース達はもうこの街では冒険者をやれないだろう。それくらいに、ギルドの職員たちの表情にも怒りの感情が見えていた。
そう思ったので、俺は特に何も考えずに普段通りにギルドに入った。
「おう、アイク! お疲れさん!」
「おっ、アイク達のパーティが帰ってきたぞ。またすぐにクエスト終わらせてきたんだろ? ははっ、さすがアイクだな」
「アイク今帰りか? この後どうよ、一杯飲まないか?」
「おう、お疲れさん。ははっ、ありがとうな。とりあえず、クエストの報告したらな」
俺のクエストからの帰りを待っていたギルドの仲間たちは、俺にそんな言葉をかけてくれていた。
隣町でクエストをこなしていく中で、徐々に仲良くなったギルドの仲間たちは気さくな奴らが多く、俺を受け入れてくれていた。
ギルド仲間と一緒に酒を飲んだりすることもあり、十分に友達と呼べるに値する存在になっていた。
「は? あ、アイクがギルドメンバーと打ち解けている?」
「え、こんなに人気なの? アイクって」
「……ちっ」
後ろからギース達の声が聞こえてきたが、俺は特に反応することはなかった。
前にいたギルドでの俺の立ち位置を知っていれば、当然そんな反応にもなると思ったからだ。
俺がそのままクエストの報告に行こうとカウンターに向かおうとすると、後ろから別の話声が聞こえてきた。
「おっ、新しく来た新人パーティじゃん! あれ? アイク達と知り合いだったのか?」
振り向くと、そこにはこのギルドでよく俺と一緒にいる剣士のダンがギース達に話しかけていた。
話しかけられた三人は気まずそうに顔を背けていたが、その空気に耐えられなくなったエルドが重い口を開いた。
「元々、同じパーティだったんだ……」
「え? そうだったのかよ! なんだ、奇跡的な再開って感じか?」
「いや、そう言う訳でもないんだけどな」
なんとか誤魔化そうとしているエルドは煮えたぎらない返答をするだけだった。すると、そんなエルドのもとにルーナがそっと近づいていった。
「アイクを無能扱いして、パーティから追い出して殺そうとしたのだから、奇跡的と言えば奇跡的ではないのか?」
すっとぼけるような口調でルーナはそんな言葉を口にした。そのルーナの声はやけに響いて、その声はギルドに響き渡ったようでギルドの中が急に静かになった。
そして、その静寂を破ったのは怒りの感情で揺れているダンの言葉だった。
「は? なんだそれ、アイクを無能扱い? ていうか、殺そうとしたのか?」
「いや、その……ギルドに依頼されて……」
「ギルドに依頼されたからって、仲間を殺すのかよ? おいっ! お前仲間を何だと思ってんだ!!」
「お、おい、ダン!」
そして、ダンはそのままエルドに掴みかかってしまった。本気で怒った顔をして掴みかかっているダンを振りほどこうとその手首を掴んだが、ダンはその手を緩めようとしなかった。
「止めるな、アイク! 許せねーよ!! こいつっ、俺のダチを殺そうとしたんだ! 許せるわけないだろ!!」
ダンは剣士の中でも力が強い。そのダンが本気で掴みかかると、エルドはその場に押し倒されてしまった。
ダンが振りかぶった腕を止めさせようとしたとき、俺のその腕をルーナが止めてきた。
「る、ルーナ?」
俺がダンの腕を止めなかったので、ダンの拳はそのままエルドの顔を殴りつけてしまった。鈍い音がギルドに響き、殴られたエルドの唇からは血が流れていた。
「人の命を何だと思ってんだ!」
ダンはエルドの胸倉を揺すりながら二発目を入れようと拳を構えていた。俺がそれを止めようとすると、ルーナは俺の手首を強く掴んで殴られているエルドに視線を向けていた。
「よく見ておけ。アイクの命が危なかったと分かって、これだけ本気で怒ってくれる人がいるということをよく理解しておけ。アイクは自分の命を軽く見過ぎの所があるからな」
ギースとリンはエルドが殴られているのを見て止めようとせず、ただ視線を逸らしているだけだった。
そんな二人の態度を見て、ルーナの手の力がさらに強くなった気がした。再びエルドの方に視線を戻すと、ルーナは微かに震えるような声で言葉を漏らした。
「そして、あれだけの怒りを覚えているのはダンだけではないことを理解しておけ」
その声を聞いて、ルーナの怒りの一部を見た気がした。そして、ギース達に本気で切りかかろうとしていたアリスのことを思い出した。
二人も今のダン以上に怒りの感情を抱いていてくれたのだろう。そう思うと、自分のためにそこまで感情を動かしてくれることに少しだけ嬉しく思ってしまった。
自部の価値を見誤るな。昔、ルーナにそんなこと言われたことを思い出した。
まだ俺は自分を少し卑下してしまった部分があったのかもしれない。そんなことを心の中で少しだけ思ったりした。
ダンが殴られ続けても周りはそれを止めることなく、ギルドの職員が駆けつけてくるまでエルドは殴られ続けていた。
そしてその後、ギース達はギルドから摘まみだされたのだった。
きっと、ギース達はもうこの街では冒険者をやれないだろう。それくらいに、ギルドの職員たちの表情にも怒りの感情が見えていた。