ダンジョンの最下層まで行った帰り道。来た道を引き返していくと、そこには先程遭遇したギース達のパーティがいた。
どうやら、先程出会った場所から動けずにいたようだった。俺たちが近づいていくと、足音に気づいたのかエルドとリンが立ち上がって近づいてきた。
「あ、アイク! どうしたんだ、引き返してきて……も、もしかして、やっぱり、戻ってきてくれる気になったのか?」
「そ、そうだよね! 長い間一緒にいたんだし、私達と一緒の方がダンジョン攻略もやりやすかったでしょ?」
作ったような笑顔で近づいてくる二人に対して、思わず俺は顔を引きつらせてしまった。純粋にいつもと違い過ぎる態度が怖く思えたのだ。
「たわけ。ただ最下層のボスを倒したから帰還してるだけだ」
「え? ぼ、ボスを倒した? え、どういうこと?」
「さっきアイクさんが最下層のボスを倒したんですよ」
「あ、アイクが? あ、あのアイクがダンジョンのボスを倒した、だと?」
俺が最下層のボスを倒したと聞いて、エルドとリンは聞き間違いでもしたかのようにポカンとしていた。
『駄賊』の俺がダンジョンのボスを倒せるはずがない。そんな考えが根底にあるのだろう。
「ちっ……余計なこと、しやがって」
そんな中で一人だけ違った反応を示している人物がいた。
パーティのリーダーのギースである。
しかし、いつもはもっと恫喝をするように嫌味なことを言っていたはずなのに、ギースの言葉は独り言のようなものだった。
やさぐれるようにこちらも見ないでただ不満を漏らすような言葉。そんならしくない言葉に違和感を抱いた。
「おい、ギース! いい加減にしろ!!」
「そうよ、ギース! 黙ってなさいよ!!」
「え?」
普段はギースの言った言葉を否定しなかった二人。俺を馬鹿にするとは、むしろ一緒になって馬鹿にしてきたくせに、今の二人は全く違う態度だった。
そんな俺の反応に気づいてか、エルドは俺に不自然な笑みを向けながら言葉を続けた。
「あ、アイク。俺たちはギースを追放することにしたんだ。だから、頼む! パーティに戻って来てくれ!」
「私からもお願い! ギースの奴が、アイクを馬鹿にするから、私達もアイクが弱いって思っちゃったの! 今までのこと謝るから、許してアイク!」
「つ、追放? ギースを?」
このパーティの主軸であるギースを追放する。それは、実質的にパーティの解散を意味しているのではないだろうか。
そう思って二人の顔を見てみるが、まるでそんなつもりがないようだった。
タンクと魔法使いの二人だけのパーティって、そんなの成立するのだろうか?
いや、それ以前になんでギースが追放される流れになっているんだ?
「黙って聞いてましたけど。なんなんですか、さっきから。私達のいる前で堂々と引き抜きですか?」
俺が何が起きたのか分からないでいると、アリスが少し怒った様子で俺の前に立った。
それもそうだろう。目の前で何度も仲間を引き抜かれそうになっていたら、黙っていられなくもなる。
「そ、そんなつもりはないんだ! そうだ、俺たちをアイクのパーティに入れてくれないか?」
「そ、それいいね! ほら、私達が強いのは良く知ってるでしょ? だから、仲間に入れて欲しいな!」
「ちょ、ちょっと、待ってくれ。一体何が起きてるんだ? 急に謝ってきたり、急に仲間にしてくれとか」
さっきから言っていることが二転三転としてきて、この二人が何をしたいのか分からなくなってきた。
俺をパーティに連れ戻すのが目的かと思ったら、今度はこちらのパーティに入れてくれと懇願してきている。
二人の目的が何のか分からず、訳が分からなくなってきていた。
「教えてやろうではないか、アイク」
そんなふうに俺が困惑していると、ルーナがふと俺の隣にきて意味ありげな笑みを向けてきた。
その瞳は、こうなることを予想していたとでも言いたげな瞳をしていた。
どうやら、先程出会った場所から動けずにいたようだった。俺たちが近づいていくと、足音に気づいたのかエルドとリンが立ち上がって近づいてきた。
「あ、アイク! どうしたんだ、引き返してきて……も、もしかして、やっぱり、戻ってきてくれる気になったのか?」
「そ、そうだよね! 長い間一緒にいたんだし、私達と一緒の方がダンジョン攻略もやりやすかったでしょ?」
作ったような笑顔で近づいてくる二人に対して、思わず俺は顔を引きつらせてしまった。純粋にいつもと違い過ぎる態度が怖く思えたのだ。
「たわけ。ただ最下層のボスを倒したから帰還してるだけだ」
「え? ぼ、ボスを倒した? え、どういうこと?」
「さっきアイクさんが最下層のボスを倒したんですよ」
「あ、アイクが? あ、あのアイクがダンジョンのボスを倒した、だと?」
俺が最下層のボスを倒したと聞いて、エルドとリンは聞き間違いでもしたかのようにポカンとしていた。
『駄賊』の俺がダンジョンのボスを倒せるはずがない。そんな考えが根底にあるのだろう。
「ちっ……余計なこと、しやがって」
そんな中で一人だけ違った反応を示している人物がいた。
パーティのリーダーのギースである。
しかし、いつもはもっと恫喝をするように嫌味なことを言っていたはずなのに、ギースの言葉は独り言のようなものだった。
やさぐれるようにこちらも見ないでただ不満を漏らすような言葉。そんならしくない言葉に違和感を抱いた。
「おい、ギース! いい加減にしろ!!」
「そうよ、ギース! 黙ってなさいよ!!」
「え?」
普段はギースの言った言葉を否定しなかった二人。俺を馬鹿にするとは、むしろ一緒になって馬鹿にしてきたくせに、今の二人は全く違う態度だった。
そんな俺の反応に気づいてか、エルドは俺に不自然な笑みを向けながら言葉を続けた。
「あ、アイク。俺たちはギースを追放することにしたんだ。だから、頼む! パーティに戻って来てくれ!」
「私からもお願い! ギースの奴が、アイクを馬鹿にするから、私達もアイクが弱いって思っちゃったの! 今までのこと謝るから、許してアイク!」
「つ、追放? ギースを?」
このパーティの主軸であるギースを追放する。それは、実質的にパーティの解散を意味しているのではないだろうか。
そう思って二人の顔を見てみるが、まるでそんなつもりがないようだった。
タンクと魔法使いの二人だけのパーティって、そんなの成立するのだろうか?
いや、それ以前になんでギースが追放される流れになっているんだ?
「黙って聞いてましたけど。なんなんですか、さっきから。私達のいる前で堂々と引き抜きですか?」
俺が何が起きたのか分からないでいると、アリスが少し怒った様子で俺の前に立った。
それもそうだろう。目の前で何度も仲間を引き抜かれそうになっていたら、黙っていられなくもなる。
「そ、そんなつもりはないんだ! そうだ、俺たちをアイクのパーティに入れてくれないか?」
「そ、それいいね! ほら、私達が強いのは良く知ってるでしょ? だから、仲間に入れて欲しいな!」
「ちょ、ちょっと、待ってくれ。一体何が起きてるんだ? 急に謝ってきたり、急に仲間にしてくれとか」
さっきから言っていることが二転三転としてきて、この二人が何をしたいのか分からなくなってきた。
俺をパーティに連れ戻すのが目的かと思ったら、今度はこちらのパーティに入れてくれと懇願してきている。
二人の目的が何のか分からず、訳が分からなくなってきていた。
「教えてやろうではないか、アイク」
そんなふうに俺が困惑していると、ルーナがふと俺の隣にきて意味ありげな笑みを向けてきた。
その瞳は、こうなることを予想していたとでも言いたげな瞳をしていた。