俺がダンジョンの最下層にある部屋の扉を開けると、暗がりの室内に火が灯された。
そして、俺たちの視線の先には、このダンジョンのボスである鱗のついた大蛇のようなモンスターがいた。
ダンジョンに生息すると言われているイビルスネークだ。
体の太さは俺の半分ほどあり、この位置からはしっぽの位置が確認できないくらいに長さがある。イビルスネークはその気になれば俺たちを一飲みできそうなくらい大きな口から舌を出して、こちらの出方を窺っていた。
「先鋒、行きます。『身体強化』『肉体強化』」
俺の隣にいたアリスはそう言うと、スキルを発動させて地面を強く蹴った。『身体強化』『肉体強化』で筋力と運動能力を向上されたアリスは、勢いよく走ってイビルスネークの後ろを取った。
イビルスネークがまだ俺たちの方を見ているのを確認すると、その勢いをそのまま大きな跳躍の力に変えて、イビルスネークに切りかかった。
「やぁぁぁっ!」
渾身のアリスの一撃だった。その一撃はダンジョンの部屋の床を大きくえぐり、爆発でもしたのかというような音と共に砂煙を上げた。
「「え?」」
想像以上の力が入った攻撃を前に、俺とルーナは思わずそんな声を漏らしていた。とてもじゃないが、少し前まで第三王女と言われてた女の子のする戦い方ではなかった。
「このっ、バーサーカー娘! 殺すなと注意しておいただろう!」
「こ、殺してませんよ! 避けられましたから!!」
どうやらイビルスネークはアリスの攻撃をすんでの所で避けたようで、アリスの剣は空を切っていたようだった。
「アイク、見えているか! こちらに来てるぞ! それと、早く相手を戦闘不能状態にしないと、あの馬鹿力娘がモンスターを殺してしまうぞ!」
「分かってる。問題ない」
「すみません、そっちに行きました! あと、私馬鹿力じゃないですよ!」
いきなり砂煙を立てられるとは思っていなかったが、それでもイビルスネークの姿は捕らえることができていた。
どうやら、アリスの攻撃を避けたイビルスネークは初めに俺たちを処理しようと思ったらしく、一直線にこちらに向かってきていた。
相手を捕らえるとなると、やはり反射的に使ってしまうのは闇魔法だった。俺は使い慣れてきてしまったスキルを発動させた。
「『闇棘』」
そのスキルは相手の影から黒いバラの茎のような物を出現させて相手に絡みついて、相手に棘を刺して苦しめながら、自分の影に引きずり込む闇魔法だった。
その茎の太さだって、そんなに太いわけではなかった。太いロープの代わりに相手を縛り付けるような物だった記憶がある。
「え? あれ?」
それがどういう訳か、目の前に現れた複数の茎の太さはイビルスネークの太さと変わらい太さになっていた。そんな太すぎる棘付きの茎がイビルスネークの体を締め付けて、そのまま漆黒の闇の中へと引きずり込もうとしていた。
「ギィアアァァァ!! ……ギィァァァァ」
イビルスネークは闇の棘に刺されて苦しみながら、身動きを取ることされ許されずにゆっくりと闇の中に引きずり込まれていった。
「あ、やべっ、『魔源』のこと忘れて、いつも通りに使っちまった」
「アイク! 早く引きずり戻さんと、スキルを奪えなくなるぞ!」
「そうだった!」
俺は急いで絡みつている茎を操って、イビルスネークを深い闇から引きずり出してそのまま地面に叩きつけた。
「ギィ、ギ、ギ……」
アリスに負けず劣らずの砂埃をまき散らして叩きつけると、その衝撃がダメージになったのか、イビルスネークはその場でぴくぴくとしていた。
「……生きてるよな?」
「なんでこのパーティには脳筋みたいなのしかおらんのじゃ」
「ルーナだって、似たようなものだろ」
「むっ、そ、そんなことはない」
多分、ルーナが加勢しなかった理由はルーナがやるとオーバーキル過ぎるからだと思う。前に一瞬でモンスターの群れを氷漬けにしたのを俺は忘れていない。
「さてと、それじゃあ、『スティール』のお時間だ」
俺は目の前で瀕死状態のイビルスネークに手のひらを向けて、『スティール』をしばらく浴びせ続けたのだった。
そして、俺たちの視線の先には、このダンジョンのボスである鱗のついた大蛇のようなモンスターがいた。
ダンジョンに生息すると言われているイビルスネークだ。
体の太さは俺の半分ほどあり、この位置からはしっぽの位置が確認できないくらいに長さがある。イビルスネークはその気になれば俺たちを一飲みできそうなくらい大きな口から舌を出して、こちらの出方を窺っていた。
「先鋒、行きます。『身体強化』『肉体強化』」
俺の隣にいたアリスはそう言うと、スキルを発動させて地面を強く蹴った。『身体強化』『肉体強化』で筋力と運動能力を向上されたアリスは、勢いよく走ってイビルスネークの後ろを取った。
イビルスネークがまだ俺たちの方を見ているのを確認すると、その勢いをそのまま大きな跳躍の力に変えて、イビルスネークに切りかかった。
「やぁぁぁっ!」
渾身のアリスの一撃だった。その一撃はダンジョンの部屋の床を大きくえぐり、爆発でもしたのかというような音と共に砂煙を上げた。
「「え?」」
想像以上の力が入った攻撃を前に、俺とルーナは思わずそんな声を漏らしていた。とてもじゃないが、少し前まで第三王女と言われてた女の子のする戦い方ではなかった。
「このっ、バーサーカー娘! 殺すなと注意しておいただろう!」
「こ、殺してませんよ! 避けられましたから!!」
どうやらイビルスネークはアリスの攻撃をすんでの所で避けたようで、アリスの剣は空を切っていたようだった。
「アイク、見えているか! こちらに来てるぞ! それと、早く相手を戦闘不能状態にしないと、あの馬鹿力娘がモンスターを殺してしまうぞ!」
「分かってる。問題ない」
「すみません、そっちに行きました! あと、私馬鹿力じゃないですよ!」
いきなり砂煙を立てられるとは思っていなかったが、それでもイビルスネークの姿は捕らえることができていた。
どうやら、アリスの攻撃を避けたイビルスネークは初めに俺たちを処理しようと思ったらしく、一直線にこちらに向かってきていた。
相手を捕らえるとなると、やはり反射的に使ってしまうのは闇魔法だった。俺は使い慣れてきてしまったスキルを発動させた。
「『闇棘』」
そのスキルは相手の影から黒いバラの茎のような物を出現させて相手に絡みついて、相手に棘を刺して苦しめながら、自分の影に引きずり込む闇魔法だった。
その茎の太さだって、そんなに太いわけではなかった。太いロープの代わりに相手を縛り付けるような物だった記憶がある。
「え? あれ?」
それがどういう訳か、目の前に現れた複数の茎の太さはイビルスネークの太さと変わらい太さになっていた。そんな太すぎる棘付きの茎がイビルスネークの体を締め付けて、そのまま漆黒の闇の中へと引きずり込もうとしていた。
「ギィアアァァァ!! ……ギィァァァァ」
イビルスネークは闇の棘に刺されて苦しみながら、身動きを取ることされ許されずにゆっくりと闇の中に引きずり込まれていった。
「あ、やべっ、『魔源』のこと忘れて、いつも通りに使っちまった」
「アイク! 早く引きずり戻さんと、スキルを奪えなくなるぞ!」
「そうだった!」
俺は急いで絡みつている茎を操って、イビルスネークを深い闇から引きずり出してそのまま地面に叩きつけた。
「ギィ、ギ、ギ……」
アリスに負けず劣らずの砂埃をまき散らして叩きつけると、その衝撃がダメージになったのか、イビルスネークはその場でぴくぴくとしていた。
「……生きてるよな?」
「なんでこのパーティには脳筋みたいなのしかおらんのじゃ」
「ルーナだって、似たようなものだろ」
「むっ、そ、そんなことはない」
多分、ルーナが加勢しなかった理由はルーナがやるとオーバーキル過ぎるからだと思う。前に一瞬でモンスターの群れを氷漬けにしたのを俺は忘れていない。
「さてと、それじゃあ、『スティール』のお時間だ」
俺は目の前で瀕死状態のイビルスネークに手のひらを向けて、『スティール』をしばらく浴びせ続けたのだった。