「ん……」
少しの頭痛が頭に残っている。寝苦しさを覚えて、俺は寝返りを打とうとして、体が動かなかった。
なぜか分からないが、体を何者かが強く押さえつけているような感覚がある。
まだ寝足りない気持ちもあるが、俺は無理やり瞼を開けて目を覚ました。
「……どういう状況だ?」
目を覚まして左右に顔を向けてみて、俺が寝返りがをうてない理由が分かった。
俺はベッドに寝かされていていた。川の字で寝るように、二人の女の子が俺を挟むようにして。
右手をルーナが、左手をアリスが抱きかかえて俺を拘束していたのだ。
「いや、俺捕まるぞ」
「あ、アイクさん! おはようございます!」
「ん? ああ、おはよう。なぁ、これ一体どういう状況――」
「む? アイク? あ、アイクぅ!!!」
「いった! いたいいたい! 強く抱きつきすぎだ!!」
俺が目を覚ました様子に気づいたアリスに状況の説明をしてもらおうとしたところで、俺達の声を聞いて飛び起きたルーナに邪魔をされた。
これでもかというほど、強く抱きついて顔をこすり付けている。喜び方が人間というか動物じゃないか。
「アイクよ! 心配したぞ!! あと数時間目覚めなかったら、そこの娘を八つ裂きにしている所だったわ!」
「いや、物騒過ぎんだろ! え、ルーナ、お前泣いてるのか?
「な、泣いてなどおらん! そこの娘と一緒にするでない!」
「え、なんだ、アリスまで泣いてんのか?」
よく見てみると、俺の腕を抱きしめている二人の目から涙が零れていた。その二人の顔を見て、俺は動揺を隠せないでいた。
自分のことを泣くほど心配してくれる。そんな状況に慣れていないのだ。
「そんな、大袈裟過ぎるだろ」
「馬鹿者! 『スティール』を使って急に倒れたんだぞ! 奪った『魔源』が原因で死んでしまうかと思ったぞ!」
俺の『スティール』が奪うスキルはランダムだ。だから、一発で目的のスキルを奪えることはない。そのはずなのだが、今回は一発で目的のスキルを奪うことができたらしい。
確かに、一発『スティール』を使ってから、意識がなくなった気がする。あのときに、『魔源』を奪ったというか。
「俺の『スティール』は成功したってことでいいのか?」
俺がアリスの方にちらりと視線を向けると、アリスは嬉しそうに頷いた。胸のつかえがとれたようにすっきりとした顔をしている。
「はい。私の『魔源』は私の中からなくなりました。初めてです、ずっと重かった胸がこんなに軽くなるなんて」
「重いと言うほど膨らんでおらんだろう」
「いや、そう言う話じゃないだろ。ほら、アリスが顔赤くしちゃったじゃんか」
胸に手を置いていたアリスはルーナの言葉を気にしてか、自身の胸から手を離した。それから気を取り直したように咳払いを一つすると、俺から離れてアリスはベッドから下りて床に正座をした。
「アイクさん。本当にありがとうございました」
アリスはそう言うと、地面に頭をつけてお礼の言葉を述べた。王族が地面に頭をつけている。そんなことをされると、こちらが申し訳なくなる。
「いや、やめてくれ。頭を上げてくれって」
俺が頭を上げるようにお願いをすると、アリスはしばらく頭を下げた後にスッと頭を上げた。そして、アリスは顔を赤くしながら恥ずかしそうに言葉を続けた。
「本当は昨日死んでいた身です。私の身と心はアイクさんに捧げさせてください」
そういうと、こちらを上目遣いで見つめてきた。ただでさえ整っている容姿なのに、そんな目で見られるとこちらの鼓動が速くなる。
「み、身も?」
今、身もと言ったのか?
もちろん、俺はロリコンではないからアリスに変なことをする気はない。それでも、アリスの整った容姿と、発達途上の体つきは男心を惹きつけるだけの物が確かにあった。
そんな少しばかり甘くなりそうだった空気。しかし、それはベッドから飛び撮りて仁王立ちをしたルーナの笑い声によって壊されたのだった。
「フハハハハハ! 残念だったな、娘よ! アイクは貴様のように発展途上のおっぱいには興味ないのだ! アイクは私のように大人の女性が好きなのだからな!」
「? む、矛盾してませんか?」
「な、何が言いたいんじゃ、この娘は!」
「ルーナがロリっ子だってことだろ。ルーナのことをも説明しないとだし、色々とアリスには説明しないといけないこともあるんだけど、ここはどこだ? あと、アリスを追ってる騎士団とかはもういないのか?」
「ロリっ子でっはないわ!」
そんなふうに噛みついてくるルーナをかわしながら、俺はアリスの方へと視線を向けた。俺の質問を投げかけたのがルーナではなく、アリスだと気づいたのだろう。俺の視線を受けてアリスは言葉を続けた。
「ここは隣の村です。アイクさんが倒れた後、ルーナさんがアイクさんを運んでくれました。どこにそんな力があるのか不思議でしてけど」
「少し多めに金も積んであるし、この宿の主人が情報をリークするとは考えられん。まぁ、理由を話して普段は使っていない物置部屋を借りているから問題はない」
「理由を話して……あれは、脅しと言うのでは?」
「た、大差はない!」
ジトっとした目をルーナに向けたが、ルーナは自分は悪くないと言いたげにぷいっと顔を背けてしまった。
まぁ、多分動けなくなった俺のために色々やってくれたのだろう。さすが年長者と言うだけのことはある。
「ありがとうな、ルーナ」
「ふへへっ、くるしゅうない」
軽く頭を撫でてやると、ルーナは嬉しそうに頬を緩めた。何かとルーナには色々と助けてもらっている。
これだけ小さな背中におんぶにだっこではいられない。
「よっし、作戦会議をしよう」
アリスの追っ手から逃げながら、『魔源』を抑え込むスキルを手に入れるため、俺達は作戦会議を開始した。
少しの頭痛が頭に残っている。寝苦しさを覚えて、俺は寝返りを打とうとして、体が動かなかった。
なぜか分からないが、体を何者かが強く押さえつけているような感覚がある。
まだ寝足りない気持ちもあるが、俺は無理やり瞼を開けて目を覚ました。
「……どういう状況だ?」
目を覚まして左右に顔を向けてみて、俺が寝返りがをうてない理由が分かった。
俺はベッドに寝かされていていた。川の字で寝るように、二人の女の子が俺を挟むようにして。
右手をルーナが、左手をアリスが抱きかかえて俺を拘束していたのだ。
「いや、俺捕まるぞ」
「あ、アイクさん! おはようございます!」
「ん? ああ、おはよう。なぁ、これ一体どういう状況――」
「む? アイク? あ、アイクぅ!!!」
「いった! いたいいたい! 強く抱きつきすぎだ!!」
俺が目を覚ました様子に気づいたアリスに状況の説明をしてもらおうとしたところで、俺達の声を聞いて飛び起きたルーナに邪魔をされた。
これでもかというほど、強く抱きついて顔をこすり付けている。喜び方が人間というか動物じゃないか。
「アイクよ! 心配したぞ!! あと数時間目覚めなかったら、そこの娘を八つ裂きにしている所だったわ!」
「いや、物騒過ぎんだろ! え、ルーナ、お前泣いてるのか?
「な、泣いてなどおらん! そこの娘と一緒にするでない!」
「え、なんだ、アリスまで泣いてんのか?」
よく見てみると、俺の腕を抱きしめている二人の目から涙が零れていた。その二人の顔を見て、俺は動揺を隠せないでいた。
自分のことを泣くほど心配してくれる。そんな状況に慣れていないのだ。
「そんな、大袈裟過ぎるだろ」
「馬鹿者! 『スティール』を使って急に倒れたんだぞ! 奪った『魔源』が原因で死んでしまうかと思ったぞ!」
俺の『スティール』が奪うスキルはランダムだ。だから、一発で目的のスキルを奪えることはない。そのはずなのだが、今回は一発で目的のスキルを奪うことができたらしい。
確かに、一発『スティール』を使ってから、意識がなくなった気がする。あのときに、『魔源』を奪ったというか。
「俺の『スティール』は成功したってことでいいのか?」
俺がアリスの方にちらりと視線を向けると、アリスは嬉しそうに頷いた。胸のつかえがとれたようにすっきりとした顔をしている。
「はい。私の『魔源』は私の中からなくなりました。初めてです、ずっと重かった胸がこんなに軽くなるなんて」
「重いと言うほど膨らんでおらんだろう」
「いや、そう言う話じゃないだろ。ほら、アリスが顔赤くしちゃったじゃんか」
胸に手を置いていたアリスはルーナの言葉を気にしてか、自身の胸から手を離した。それから気を取り直したように咳払いを一つすると、俺から離れてアリスはベッドから下りて床に正座をした。
「アイクさん。本当にありがとうございました」
アリスはそう言うと、地面に頭をつけてお礼の言葉を述べた。王族が地面に頭をつけている。そんなことをされると、こちらが申し訳なくなる。
「いや、やめてくれ。頭を上げてくれって」
俺が頭を上げるようにお願いをすると、アリスはしばらく頭を下げた後にスッと頭を上げた。そして、アリスは顔を赤くしながら恥ずかしそうに言葉を続けた。
「本当は昨日死んでいた身です。私の身と心はアイクさんに捧げさせてください」
そういうと、こちらを上目遣いで見つめてきた。ただでさえ整っている容姿なのに、そんな目で見られるとこちらの鼓動が速くなる。
「み、身も?」
今、身もと言ったのか?
もちろん、俺はロリコンではないからアリスに変なことをする気はない。それでも、アリスの整った容姿と、発達途上の体つきは男心を惹きつけるだけの物が確かにあった。
そんな少しばかり甘くなりそうだった空気。しかし、それはベッドから飛び撮りて仁王立ちをしたルーナの笑い声によって壊されたのだった。
「フハハハハハ! 残念だったな、娘よ! アイクは貴様のように発展途上のおっぱいには興味ないのだ! アイクは私のように大人の女性が好きなのだからな!」
「? む、矛盾してませんか?」
「な、何が言いたいんじゃ、この娘は!」
「ルーナがロリっ子だってことだろ。ルーナのことをも説明しないとだし、色々とアリスには説明しないといけないこともあるんだけど、ここはどこだ? あと、アリスを追ってる騎士団とかはもういないのか?」
「ロリっ子でっはないわ!」
そんなふうに噛みついてくるルーナをかわしながら、俺はアリスの方へと視線を向けた。俺の質問を投げかけたのがルーナではなく、アリスだと気づいたのだろう。俺の視線を受けてアリスは言葉を続けた。
「ここは隣の村です。アイクさんが倒れた後、ルーナさんがアイクさんを運んでくれました。どこにそんな力があるのか不思議でしてけど」
「少し多めに金も積んであるし、この宿の主人が情報をリークするとは考えられん。まぁ、理由を話して普段は使っていない物置部屋を借りているから問題はない」
「理由を話して……あれは、脅しと言うのでは?」
「た、大差はない!」
ジトっとした目をルーナに向けたが、ルーナは自分は悪くないと言いたげにぷいっと顔を背けてしまった。
まぁ、多分動けなくなった俺のために色々やってくれたのだろう。さすが年長者と言うだけのことはある。
「ありがとうな、ルーナ」
「ふへへっ、くるしゅうない」
軽く頭を撫でてやると、ルーナは嬉しそうに頬を緩めた。何かとルーナには色々と助けてもらっている。
これだけ小さな背中におんぶにだっこではいられない。
「よっし、作戦会議をしよう」
アリスの追っ手から逃げながら、『魔源』を抑え込むスキルを手に入れるため、俺達は作戦会議を開始した。