そして、翌日。
俺たちは今日もタルト山脈を登っていた。
その道中で多くの魔物たちと出会い、その魔物たちを倒していく中でふと思ったことがあった。
「俺たちのパーティって、人少なくないか?」
「少ないというか、二人ですからね
俺たちはリリが作ってくれた昼飯を食べながら、そんな話をしていた。
リリが作ってくれたハイファングのステーキを食べながら、俺はこの山脈に来てからのことを思い出していた。
二人しかいないという状況で、随分と多くの魔物を相手に戦ってきた。俺もリリもステータスが高いから、二人という状況でもそこまで苦労はしていない。
それでも、もう一人くらいパーティメンバーがいたら、動きやすいなと思わなかったかと言えば、嘘になる。
「多分、これからもっと難易度の高いクエストを受けることになるだろう? まぁ、別に二人だと絶望的って訳ではないと思うが、人は多くて越したことはないと思うんだよ」
「そうですね。色んなパーティと会ってきましたけど、私達みたいに二人という人達はいませんでしたし、いつかメンバーの補強はすることになると思います」
どうやら、リリも同じようなことを思っていたようで、メンバーを補強することについては賛成のようだった。
まぁ、俺が気づいていることをリリが気づかないわけもないか。
「ただ問題があるとすると、新メンバーが俺たちについてこれるかってのはあるな」
「せっかくなら、戦力になる人がいいですもんね」
正直、何か得意なことがあるならそれでもいいかとも思った。
しかし、以前のギース達と共にしたクエストを思い出すと、やはり、ある程度実力が同じくらいの仲間の方がいいだろうと思ってしまう。
以前、A級パーティであるルード達と一緒にクエストをしたことがあった。その時、ルード達はあえて口には出さなかったが、ギース達を守る陣形を取っていた。
クエスト攻略を効率的に達成するために人を増やしたのに、その人を守るせいで自由な動きを封じられていたのだ。
メンバー増やしたことが足かせになるようなことは、できればしたくはないよな。
しかし、そうなると一気に難しくもなる。
「俺たちのステータスとあまり変わらない、フリーな冒険者かぁ」
自分達がどのくらいの位置にいるのか分からない。それでも、そんなメンバーを集めることが難しいということは分かっていた。
「急ぎじゃないなら、ゆっくり探してもいいんじゃないですか?」
「そうだな。急いで見つけても仕方ないしな」
ゆくゆくはメンバーの補強をする。そんな話し合いを終えて、俺たちは再びタルト山脈を登っていった。
ご飯を食べて元気が出たということもあってか、それからワイバーンが暴れていると言われていた場所まではスムーズに進むことができた。
ドニシアの冒険者ギルドで聞いた、ワイバーンが暴れていると言われていた場所。そこの付近に近づいてきたので、俺とリリは【潜伏】のスキルを使って、さらに距離を詰めていった。
すると、すぐに魔物の威嚇するような叫び声が聞こえてきた。
俺たちのことには気づいていないはず。となると、何か魔物に対して吠えているのだろうか?
そういえば、ワイバーンが暴れているという情報は聞いたけど、何で暴れているのか聞いてなかったな。
そんなことを考えながら、俺たちは岩陰からそっとその姿を確認した。
黒っぽい鱗を身に纏い、翼の生えたトカゲのような魔物。少しの神々しさと相手を威圧している目が印象的だった。
大きさ的には俺の三倍ほどの大きさで、ワイバーンにしてはそこまで大きくはないサイズだった。
そんなワイバーンが傷を負いながら、見つめるその先には魔物がいた。
「え?」
子犬のような体つきで、白いモフモフを砂ぼこりで汚しながら、凛々しい表情でワイバーンを見つめていた。
明らかに劣勢である。少し見ただけでもそれが分かるのに、一歩も引こうとしない佇まい。
そんな可愛さとカッコよさを兼ね備えたような姿に、俺たちは見惚れてしまっていた。
「も、もふもふです」
「もふもふ、だな」
俺たちはそんな頭の悪いような言葉を漏らして、もう一歩だけそのワイバーンのいる方に足を踏み込んだのだった。
俺たちは今日もタルト山脈を登っていた。
その道中で多くの魔物たちと出会い、その魔物たちを倒していく中でふと思ったことがあった。
「俺たちのパーティって、人少なくないか?」
「少ないというか、二人ですからね
俺たちはリリが作ってくれた昼飯を食べながら、そんな話をしていた。
リリが作ってくれたハイファングのステーキを食べながら、俺はこの山脈に来てからのことを思い出していた。
二人しかいないという状況で、随分と多くの魔物を相手に戦ってきた。俺もリリもステータスが高いから、二人という状況でもそこまで苦労はしていない。
それでも、もう一人くらいパーティメンバーがいたら、動きやすいなと思わなかったかと言えば、嘘になる。
「多分、これからもっと難易度の高いクエストを受けることになるだろう? まぁ、別に二人だと絶望的って訳ではないと思うが、人は多くて越したことはないと思うんだよ」
「そうですね。色んなパーティと会ってきましたけど、私達みたいに二人という人達はいませんでしたし、いつかメンバーの補強はすることになると思います」
どうやら、リリも同じようなことを思っていたようで、メンバーを補強することについては賛成のようだった。
まぁ、俺が気づいていることをリリが気づかないわけもないか。
「ただ問題があるとすると、新メンバーが俺たちについてこれるかってのはあるな」
「せっかくなら、戦力になる人がいいですもんね」
正直、何か得意なことがあるならそれでもいいかとも思った。
しかし、以前のギース達と共にしたクエストを思い出すと、やはり、ある程度実力が同じくらいの仲間の方がいいだろうと思ってしまう。
以前、A級パーティであるルード達と一緒にクエストをしたことがあった。その時、ルード達はあえて口には出さなかったが、ギース達を守る陣形を取っていた。
クエスト攻略を効率的に達成するために人を増やしたのに、その人を守るせいで自由な動きを封じられていたのだ。
メンバー増やしたことが足かせになるようなことは、できればしたくはないよな。
しかし、そうなると一気に難しくもなる。
「俺たちのステータスとあまり変わらない、フリーな冒険者かぁ」
自分達がどのくらいの位置にいるのか分からない。それでも、そんなメンバーを集めることが難しいということは分かっていた。
「急ぎじゃないなら、ゆっくり探してもいいんじゃないですか?」
「そうだな。急いで見つけても仕方ないしな」
ゆくゆくはメンバーの補強をする。そんな話し合いを終えて、俺たちは再びタルト山脈を登っていった。
ご飯を食べて元気が出たということもあってか、それからワイバーンが暴れていると言われていた場所まではスムーズに進むことができた。
ドニシアの冒険者ギルドで聞いた、ワイバーンが暴れていると言われていた場所。そこの付近に近づいてきたので、俺とリリは【潜伏】のスキルを使って、さらに距離を詰めていった。
すると、すぐに魔物の威嚇するような叫び声が聞こえてきた。
俺たちのことには気づいていないはず。となると、何か魔物に対して吠えているのだろうか?
そういえば、ワイバーンが暴れているという情報は聞いたけど、何で暴れているのか聞いてなかったな。
そんなことを考えながら、俺たちは岩陰からそっとその姿を確認した。
黒っぽい鱗を身に纏い、翼の生えたトカゲのような魔物。少しの神々しさと相手を威圧している目が印象的だった。
大きさ的には俺の三倍ほどの大きさで、ワイバーンにしてはそこまで大きくはないサイズだった。
そんなワイバーンが傷を負いながら、見つめるその先には魔物がいた。
「え?」
子犬のような体つきで、白いモフモフを砂ぼこりで汚しながら、凛々しい表情でワイバーンを見つめていた。
明らかに劣勢である。少し見ただけでもそれが分かるのに、一歩も引こうとしない佇まい。
そんな可愛さとカッコよさを兼ね備えたような姿に、俺たちは見惚れてしまっていた。
「も、もふもふです」
「もふもふ、だな」
俺たちはそんな頭の悪いような言葉を漏らして、もう一歩だけそのワイバーンのいる方に足を踏み込んだのだった。