「それでは、冒険者カードの更新をしちゃいましょう。水晶の上に手を置いてくださいね」
場所は変わって冒険者ギルド。
ちょうどリリの短剣が完成したタイミングで、ミリアが屋敷に来て、何かクエストを受けないかと提案をしてきた。
冒険者カードの更新もして欲しいと言われたので、冒険者カードの更新が終わったら掲示板でも見てみるか。
ちょうどリリも短剣を試したいだろうしな。
俺とリリはそれぞれ並べられた水晶に触れて、現在のステータスを表示させた。
そうして、映し出された水晶には次のような情報が表示されていた。
【名前 アイク】
【ジョブ 道化師】
【レベル 39】
【冒険者ランク D】
【ステータス 体力 19080魔力 22000 攻撃力 19500 防御力 18820 素早さ 23580 器用さ 22140 魅力 21600】
【ユニークスキル:道化師 全属性魔法 助手】
【アルティメットスキル:アイテムボックス(無限・時間停止) 投てきS 近接格闘S 剣技S 気配感知S 生産S 鑑定S 錬金S】
【名前 リリ】
【ジョブ 助手】
【レベル 32】
【冒険者ランク D】
【ステータス 体力 13360 魔力 15400 攻撃力 13650 防御力 13200 素早さ 17500 器用さ 16500 魅力 16120】
【ユニークスキル:助手】
【スキル:アイテムボックス 投てきB 近接格闘B 剣技B 気配感知B 鑑定B 錬金C】
「おっ、良い感じでステータス上がってきたな」
「私もいい感じです」
そんなふうに互いの水晶に表示されたステータスを見ながら、少し雑談をして盛り上がっていると、イーナは俺たちのステータスを見ながら唸るような声を上げていた。
「ま、また、ステータスとレベルが馬鹿みたいに上がってる……」
おそらく、このステータスを他の誰かに見られたら、また冒険者ギルドの管理不足だと言われるのだろう。
ミリアは頭を抱えて、そんなことについて悩んでいるようだった。
まぁ、毎回来るたびにステータスが約二倍くらい上がっていれば、管理する方が無理だとは思うのだが、そんな事情を信じてくれる人はいないだろう。
普通に毎週二倍近くステータスがあがるとは考えられないしな。絶対に嘘を言っていると思われるだろ。
……何か【道化師】と【助手】には、経験値の補正でも入るのだろうか?
それにしても、またこんなにステータスが上がるとは。
「やっぱり、前の大規模なクエストで魔物を倒したからかな?」
「それと、ハイヒッポアリゲーターを倒したからじゃないですか?」
「アイクさん達、毎回どこかに行く度にステータス上げてきますね……やっぱり、冒険者ギルドを嫌っているとしか考えらなくなってきました」
ミリアは少し不貞腐れるような目をこちらに向けていた。解いたはずだったその誤解は、少し時間を置いただけで、複雑に絡み合っているようだった。
不貞腐れながら、疑うような目をこちらに向けているミリアの顔を見ると、その疑いを解くのも難しそうだ。
どうやって、誤解を解こうかと思っていると、ミリアの後ろから白髪で大柄な男が近づいてきた。
「ミリア。彼らが『道化師の集い』かい?」
「あ、ギルド長。そうです、お連れしました」
この冒険者ギルドの長、ガリア。当然、彼のことを知らないわけではない。
ただ、なぜこのギルドの長が、D級パーティである俺たちのことを知っているのかは分からなかった。
そして、先程のミリアの言葉にもどこか引っかかる言葉があった。
「お連れした?」
「あっ……」
先程まで唸ったり、不貞腐れていたりしたミリアは、頬に汗を垂らして、こちらに目を合わせようとしなかった。
泳いでいる視線から察するに、何かを隠して俺達を連れてきたのは明確だった。
「ミリアさん?」
「ぎ、ギルド職員は、ギルド長には逆らえないんです。……すみません」
「おいおい、そんなパワーバランスはないだろう。いや、アイク、気を悪くしないでくれ。ギルド長として、お礼を言わなくてはならないと思っていたんだ。盗賊の撃退、大規模なクエストへの参戦。それらのお礼ができてなかったからね。ありがとう、礼を言うよ」
ギルド長はミリアの言葉に苦笑した後、俺達の方に向き直ってそんな言葉を口にした。
顔に似合わないような少し柔らかい口調だったので、俺は少しだけ呆気に取られていた。
あれ? この人ってもっと怖いイメージだったんだけど、職員とか礼を言う人に対してはこういう感じだったのか?
「あっ、いえ。別に大したことではなかったので」
「ははっ、報告通り、本当に腰が低いんだな」
ガリアは俺の態度を見て少し口元を緩めると、俺とリリの更新されたばかりの冒険者カードを覗き込んで、感嘆の声を漏らしていた。
「ほぅ、確かにミリアが言っていた通り、凄いステータスだ。そして、それと冒険者ランクが合っていない。……これでは、管理不足と言われても仕方がないな」
ガリアはそう言うと、少し考えた素振りをした後に言葉を続けた。
「私の方から、直属に依頼を出すことにしよう。ギルド長からの依頼となれば、急に冒険者ランクが上がっても文句を言うものはいないだろう。なに、難しいことではないさ。ちょっとしたお使いみたいなものだ」
ギルド長から直接頼まれる依頼がそんな簡単なわけがない。そう思っても、ギルド長から直接される依頼を断れるほど、俺は度胸が据わってなどいなかったのだった。
場所は変わって冒険者ギルド。
ちょうどリリの短剣が完成したタイミングで、ミリアが屋敷に来て、何かクエストを受けないかと提案をしてきた。
冒険者カードの更新もして欲しいと言われたので、冒険者カードの更新が終わったら掲示板でも見てみるか。
ちょうどリリも短剣を試したいだろうしな。
俺とリリはそれぞれ並べられた水晶に触れて、現在のステータスを表示させた。
そうして、映し出された水晶には次のような情報が表示されていた。
【名前 アイク】
【ジョブ 道化師】
【レベル 39】
【冒険者ランク D】
【ステータス 体力 19080魔力 22000 攻撃力 19500 防御力 18820 素早さ 23580 器用さ 22140 魅力 21600】
【ユニークスキル:道化師 全属性魔法 助手】
【アルティメットスキル:アイテムボックス(無限・時間停止) 投てきS 近接格闘S 剣技S 気配感知S 生産S 鑑定S 錬金S】
【名前 リリ】
【ジョブ 助手】
【レベル 32】
【冒険者ランク D】
【ステータス 体力 13360 魔力 15400 攻撃力 13650 防御力 13200 素早さ 17500 器用さ 16500 魅力 16120】
【ユニークスキル:助手】
【スキル:アイテムボックス 投てきB 近接格闘B 剣技B 気配感知B 鑑定B 錬金C】
「おっ、良い感じでステータス上がってきたな」
「私もいい感じです」
そんなふうに互いの水晶に表示されたステータスを見ながら、少し雑談をして盛り上がっていると、イーナは俺たちのステータスを見ながら唸るような声を上げていた。
「ま、また、ステータスとレベルが馬鹿みたいに上がってる……」
おそらく、このステータスを他の誰かに見られたら、また冒険者ギルドの管理不足だと言われるのだろう。
ミリアは頭を抱えて、そんなことについて悩んでいるようだった。
まぁ、毎回来るたびにステータスが約二倍くらい上がっていれば、管理する方が無理だとは思うのだが、そんな事情を信じてくれる人はいないだろう。
普通に毎週二倍近くステータスがあがるとは考えられないしな。絶対に嘘を言っていると思われるだろ。
……何か【道化師】と【助手】には、経験値の補正でも入るのだろうか?
それにしても、またこんなにステータスが上がるとは。
「やっぱり、前の大規模なクエストで魔物を倒したからかな?」
「それと、ハイヒッポアリゲーターを倒したからじゃないですか?」
「アイクさん達、毎回どこかに行く度にステータス上げてきますね……やっぱり、冒険者ギルドを嫌っているとしか考えらなくなってきました」
ミリアは少し不貞腐れるような目をこちらに向けていた。解いたはずだったその誤解は、少し時間を置いただけで、複雑に絡み合っているようだった。
不貞腐れながら、疑うような目をこちらに向けているミリアの顔を見ると、その疑いを解くのも難しそうだ。
どうやって、誤解を解こうかと思っていると、ミリアの後ろから白髪で大柄な男が近づいてきた。
「ミリア。彼らが『道化師の集い』かい?」
「あ、ギルド長。そうです、お連れしました」
この冒険者ギルドの長、ガリア。当然、彼のことを知らないわけではない。
ただ、なぜこのギルドの長が、D級パーティである俺たちのことを知っているのかは分からなかった。
そして、先程のミリアの言葉にもどこか引っかかる言葉があった。
「お連れした?」
「あっ……」
先程まで唸ったり、不貞腐れていたりしたミリアは、頬に汗を垂らして、こちらに目を合わせようとしなかった。
泳いでいる視線から察するに、何かを隠して俺達を連れてきたのは明確だった。
「ミリアさん?」
「ぎ、ギルド職員は、ギルド長には逆らえないんです。……すみません」
「おいおい、そんなパワーバランスはないだろう。いや、アイク、気を悪くしないでくれ。ギルド長として、お礼を言わなくてはならないと思っていたんだ。盗賊の撃退、大規模なクエストへの参戦。それらのお礼ができてなかったからね。ありがとう、礼を言うよ」
ギルド長はミリアの言葉に苦笑した後、俺達の方に向き直ってそんな言葉を口にした。
顔に似合わないような少し柔らかい口調だったので、俺は少しだけ呆気に取られていた。
あれ? この人ってもっと怖いイメージだったんだけど、職員とか礼を言う人に対してはこういう感じだったのか?
「あっ、いえ。別に大したことではなかったので」
「ははっ、報告通り、本当に腰が低いんだな」
ガリアは俺の態度を見て少し口元を緩めると、俺とリリの更新されたばかりの冒険者カードを覗き込んで、感嘆の声を漏らしていた。
「ほぅ、確かにミリアが言っていた通り、凄いステータスだ。そして、それと冒険者ランクが合っていない。……これでは、管理不足と言われても仕方がないな」
ガリアはそう言うと、少し考えた素振りをした後に言葉を続けた。
「私の方から、直属に依頼を出すことにしよう。ギルド長からの依頼となれば、急に冒険者ランクが上がっても文句を言うものはいないだろう。なに、難しいことではないさ。ちょっとしたお使いみたいなものだ」
ギルド長から直接頼まれる依頼がそんな簡単なわけがない。そう思っても、ギルド長から直接される依頼を断れるほど、俺は度胸が据わってなどいなかったのだった。