「まさか、逃げるようにブルクを後にすることになるとはな」
「イーナさんが馬車を用意しておいてくれて、助かりました」
俺たちは魔物肉の品評会を終えて、すぐに馬車に乗り込んでミノラルへと向かっていた。
イーナの使いの者が品評会が終わるなり、俺たちを馬車乗り場に連れていってくれて、俺達は品評会を見に来ている観客たちにバレない様にブルクを後にしていた。
使いの人曰く、イーナの専属ということにしていても、多くの商人に囲まれるだろうということだった。
専属ということにしても囲まれるということは、専属にしなかったら本当に街から出れなくなっていたのかもしれない。
正直、大袈裟に言っているのだと思っていたが、本当にそうなりそうだった。
「なんか、すごいことになりそうだな」
品評会ではリリの作った料理は絶賛されており、その食材だった魔物肉の評価も高そうだった。
ゲストの評価を聞く限り、本当にイーナの言う通りブランド肉として確立されるような気がしてきた。
「せっかく魔物を討伐するなら、ブランドが確立されてからの方がいいだろうな。……しばらく、本気で屋敷の鍛冶場にでも籠るかな」
俺たちはそんな他愛もない会話をしながら、馬車で揺られてミノラルへと向かっていた。
俺はふと以前に馬車が襲われていたことがあったことを思い出して、何気なく『気配感知』のスキルを使って、周囲を確認してみることにした。
ブルクも商業都市なので、ブルク発の馬車も十分に狙われる可能性があるだろう。そう思って、周囲を警戒するために『気配感知』を使用したのだが、『気配感知』に反応した気配は盗賊のものではなかった。
「ん? なんだ、この気配の数」
「どうかしたんですか?」
「少し遠くの方に魔物の気配がする。なんか、凄い数だぞ、これ」
馬車周辺には特に気配はなく、少しと奥の方までその詮索先を伸ばしたときだった。
数えきれないほどの魔物の大軍。それを迎い打つように、十数人の人の気配があった。
俺たちと同じ冒険者だろうか?
そう思いながらも、俺は御者に馬車の行き先を変えてもらった。彼らが冒険者ではなかったときを想像すると、どうしても無視をすることができなかった。
少し様子を見るだけ見ておこうと思い、その魔物たちの気配のいる方に向かって馬車を走らせてもらった。
それからしばらくすると、こちらにすごい勢いで走ってくる気配を感じた。
【鑑定】のスキルを使って、その正体を確認してみると、それらがハイウルフであったことが分かった。
ワイドウルフの上位種となる魔物。ワイドウルフよりも一回り大きいくらいの魔物だが、キングやクイーンとは大きく劣る。
リリでも苦労することなく倒すことができるだろう。
「こっちに数体向かってくるな。リリ、迎撃するぞ」
「はいっ、分かりました」
俺たちは魔物の接近を御者に知らせて、御者に馬車を止めてもらった。
すぐそこまで来ているハイウルフに迎え撃つために、俺は短剣を引き抜いて【剣技】のスキルを使って、馬車から飛び降りた。
すると、すぐにワイドウルフを一回りほど大きくした魔物が三体こちらに突っ込んでくるのが分かった。
俺は一番初めに突っ込んできたハイウルフの動きに合わせるように、首筋に短剣を突き立てた。
そのまま何の抵抗もなく、切り裂かれていくハイウルフの首元に刃を沿わせて踏み込むと、ハイウルフの首がボトリとその場に落ちた。
そして、そのまま迫ってくる二匹目のハイウルフの攻撃をひらりとかわした後、脇腹に短剣の刃を突き刺した。
「ギャァ!」
痛がる悲鳴をそのままに、入れた刃に力を入れて突き刺した状態の刃を尾っぽの方まで移動させて引き抜くと、二匹目のハイウルフもそのまま倒れ込んでしまった。
三匹目のハイウルフは俺が二匹目のハイウルフと戦っている最中に、リリが討伐していた。
数度の刀傷を見るに、短剣のみで倒したようだ。
どうやら、リリのレベルもステータスも上がっているみたいだった。
「お疲れ様、リリ」
「アイクさんもお疲れ様です!」
俺たちは互いにねぎらいの言葉をかけて、ハイウルフとの戦闘を終わらせた。
倒した魔物をアイテムボックスにしまおうとしたとき、俺たちの前から一人の冒険者がやってきた。
銀色の短髪のすっきりとした髪型をした男は、俺達が倒したハイウルフを少し驚くように見ながら言葉を続けた。
「……君達、冒険者なのか?」
そして、その後、その冒険者はこんな言葉を続けた。
「頼みがある。少しだけ力を貸して欲しい」
「イーナさんが馬車を用意しておいてくれて、助かりました」
俺たちは魔物肉の品評会を終えて、すぐに馬車に乗り込んでミノラルへと向かっていた。
イーナの使いの者が品評会が終わるなり、俺たちを馬車乗り場に連れていってくれて、俺達は品評会を見に来ている観客たちにバレない様にブルクを後にしていた。
使いの人曰く、イーナの専属ということにしていても、多くの商人に囲まれるだろうということだった。
専属ということにしても囲まれるということは、専属にしなかったら本当に街から出れなくなっていたのかもしれない。
正直、大袈裟に言っているのだと思っていたが、本当にそうなりそうだった。
「なんか、すごいことになりそうだな」
品評会ではリリの作った料理は絶賛されており、その食材だった魔物肉の評価も高そうだった。
ゲストの評価を聞く限り、本当にイーナの言う通りブランド肉として確立されるような気がしてきた。
「せっかく魔物を討伐するなら、ブランドが確立されてからの方がいいだろうな。……しばらく、本気で屋敷の鍛冶場にでも籠るかな」
俺たちはそんな他愛もない会話をしながら、馬車で揺られてミノラルへと向かっていた。
俺はふと以前に馬車が襲われていたことがあったことを思い出して、何気なく『気配感知』のスキルを使って、周囲を確認してみることにした。
ブルクも商業都市なので、ブルク発の馬車も十分に狙われる可能性があるだろう。そう思って、周囲を警戒するために『気配感知』を使用したのだが、『気配感知』に反応した気配は盗賊のものではなかった。
「ん? なんだ、この気配の数」
「どうかしたんですか?」
「少し遠くの方に魔物の気配がする。なんか、凄い数だぞ、これ」
馬車周辺には特に気配はなく、少しと奥の方までその詮索先を伸ばしたときだった。
数えきれないほどの魔物の大軍。それを迎い打つように、十数人の人の気配があった。
俺たちと同じ冒険者だろうか?
そう思いながらも、俺は御者に馬車の行き先を変えてもらった。彼らが冒険者ではなかったときを想像すると、どうしても無視をすることができなかった。
少し様子を見るだけ見ておこうと思い、その魔物たちの気配のいる方に向かって馬車を走らせてもらった。
それからしばらくすると、こちらにすごい勢いで走ってくる気配を感じた。
【鑑定】のスキルを使って、その正体を確認してみると、それらがハイウルフであったことが分かった。
ワイドウルフの上位種となる魔物。ワイドウルフよりも一回り大きいくらいの魔物だが、キングやクイーンとは大きく劣る。
リリでも苦労することなく倒すことができるだろう。
「こっちに数体向かってくるな。リリ、迎撃するぞ」
「はいっ、分かりました」
俺たちは魔物の接近を御者に知らせて、御者に馬車を止めてもらった。
すぐそこまで来ているハイウルフに迎え撃つために、俺は短剣を引き抜いて【剣技】のスキルを使って、馬車から飛び降りた。
すると、すぐにワイドウルフを一回りほど大きくした魔物が三体こちらに突っ込んでくるのが分かった。
俺は一番初めに突っ込んできたハイウルフの動きに合わせるように、首筋に短剣を突き立てた。
そのまま何の抵抗もなく、切り裂かれていくハイウルフの首元に刃を沿わせて踏み込むと、ハイウルフの首がボトリとその場に落ちた。
そして、そのまま迫ってくる二匹目のハイウルフの攻撃をひらりとかわした後、脇腹に短剣の刃を突き刺した。
「ギャァ!」
痛がる悲鳴をそのままに、入れた刃に力を入れて突き刺した状態の刃を尾っぽの方まで移動させて引き抜くと、二匹目のハイウルフもそのまま倒れ込んでしまった。
三匹目のハイウルフは俺が二匹目のハイウルフと戦っている最中に、リリが討伐していた。
数度の刀傷を見るに、短剣のみで倒したようだ。
どうやら、リリのレベルもステータスも上がっているみたいだった。
「お疲れ様、リリ」
「アイクさんもお疲れ様です!」
俺たちは互いにねぎらいの言葉をかけて、ハイウルフとの戦闘を終わらせた。
倒した魔物をアイテムボックスにしまおうとしたとき、俺たちの前から一人の冒険者がやってきた。
銀色の短髪のすっきりとした髪型をした男は、俺達が倒したハイウルフを少し驚くように見ながら言葉を続けた。
「……君達、冒険者なのか?」
そして、その後、その冒険者はこんな言葉を続けた。
「頼みがある。少しだけ力を貸して欲しい」