「はい、この部屋をお願いします。部屋は一つで、ベッドはーー」
「二部屋分お願いします」
「アイクさん。私は助手ですよ? 部屋を分ける意味ありますか?」
「いや、あるだろ。十分すぎるくらいあるわ」
俺たちはイーナと別れて本日泊る宿を見つけることにした。
とりあえず、イーナの拠点としている店から遠くなくて、近くに飯屋がある宿に泊まることにした。
宿屋に入るなり、リリは『宿を取るくらい、任せてください!』と言ってカウンターに一人で向かって行った。
なんだか嫌な予感がしたのでリリの後ろをついてきておいてのだが、どうやら正解だったらしい。
リリは突然後ろから横やりを入れられて、不満そうに眉を下げていた。
「……なるほど、了解しました。それでは部屋をお取りしておきますね。部屋のお掃除をしておくので、また時間が経ったら鍵を取りに来てください」
若い女性の店員に空いている部屋の確保をお願いして、俺たちは宿屋を後にした。
危うく、同じ部屋に泊まることになるところだった。危なかったぜ。
「アイクさんは助手のことを何だと思ってるんですか?」
「その言葉、そのままリリに返すよ」
納得していなさそうな顔でこちらを見てくるリリをそのままに、俺たちはイーナが拠点としている店まで足を運んだ。
とりあえず、宿の場所だけを知らせて、それから魔物を狩りに行くのがいいだろう。
しかし、その店に行くとイーナが不在らしかったので、店員に宿の場所を言伝で知らせておいた。
「それじゃあ、このまま魔物を狩りに行くか。三日間の滞在費分は働かないとな」
「そうですね。でも、イーナさんが魔物肉の解体をお願いしていいのは二体だけって言ってませんでした?」
「ああ。なんかそっちの方が希少価値があるからとか言ってたな」
ここで調子を乗って、バングにいつもお願いをしている量の解体を依頼してしまうと、俺たちの魔物肉の希少性が薄れてしまうらしい。
希少価値のあるものとして噂を流した方が都合が良いらしく、今の段階では数がたくさんあることを見せてはならないとのこと。
どうやら、本格的にブランド化させるみたいだ。
「まぁ、余った肉はまたバングの方で解体してもらおう。数で勝負できないなら、質で勝負しないとだしな」
おそらく、珍しい魔物二体だと今後流通をするうえで現実味がないと言われてしまう。だから、一体は一般的な魔物。そして、もう一体は何か変わり種とかだと面白いかもしれない。
「それに、リリの武器の素材も集めないとな」
「覚えていてくれたんですね! あ、でも、私はもう少しアイクさんの短剣を堪能したいという気持ちもあるんですけど」
「安心しろ。どうせ、何本も失敗するんだから、完成品ができるのはしばらく先だ」
本来、リリはガルドから短剣を貰うはずったのに、それを俺に使ってくれと言ってくれた。
それなら、やっぱりリリにも俺の短剣と同じくらい良い物を身に着けて欲しい。
そんなことを思って、貰った短剣を【鑑定】してみたのだが、その短剣の武器ランクはSSだった。
いや、普通に引いたわ。ガルドさん、どんだけ良い短剣を俺たちに持たせてんだよ。
良い屋敷と高価な短剣を持たせておいて、これで終わりなんてことあるのだろうか? なんとなくだけど、これからも何かを頼まれていく気がしてしまう。
そして、多分これだけ色々良い物を持たされたら、断りづらいんだろうなと思ったりもしてしまう。
俺がこの短剣と同じ武器ランクの物を作るのは無理だろう。それでも、せめてあのミノラルの武器屋で売っていたくらいの短剣は作ってやりたい。
そのための素材集めをこの機会にできるなら、一石二鳥だろう。
俺はそんなことを考えて、魔物のいる森へと向かう馬車を求めて馬車乗り場に歩き出した。
「二部屋分お願いします」
「アイクさん。私は助手ですよ? 部屋を分ける意味ありますか?」
「いや、あるだろ。十分すぎるくらいあるわ」
俺たちはイーナと別れて本日泊る宿を見つけることにした。
とりあえず、イーナの拠点としている店から遠くなくて、近くに飯屋がある宿に泊まることにした。
宿屋に入るなり、リリは『宿を取るくらい、任せてください!』と言ってカウンターに一人で向かって行った。
なんだか嫌な予感がしたのでリリの後ろをついてきておいてのだが、どうやら正解だったらしい。
リリは突然後ろから横やりを入れられて、不満そうに眉を下げていた。
「……なるほど、了解しました。それでは部屋をお取りしておきますね。部屋のお掃除をしておくので、また時間が経ったら鍵を取りに来てください」
若い女性の店員に空いている部屋の確保をお願いして、俺たちは宿屋を後にした。
危うく、同じ部屋に泊まることになるところだった。危なかったぜ。
「アイクさんは助手のことを何だと思ってるんですか?」
「その言葉、そのままリリに返すよ」
納得していなさそうな顔でこちらを見てくるリリをそのままに、俺たちはイーナが拠点としている店まで足を運んだ。
とりあえず、宿の場所だけを知らせて、それから魔物を狩りに行くのがいいだろう。
しかし、その店に行くとイーナが不在らしかったので、店員に宿の場所を言伝で知らせておいた。
「それじゃあ、このまま魔物を狩りに行くか。三日間の滞在費分は働かないとな」
「そうですね。でも、イーナさんが魔物肉の解体をお願いしていいのは二体だけって言ってませんでした?」
「ああ。なんかそっちの方が希少価値があるからとか言ってたな」
ここで調子を乗って、バングにいつもお願いをしている量の解体を依頼してしまうと、俺たちの魔物肉の希少性が薄れてしまうらしい。
希少価値のあるものとして噂を流した方が都合が良いらしく、今の段階では数がたくさんあることを見せてはならないとのこと。
どうやら、本格的にブランド化させるみたいだ。
「まぁ、余った肉はまたバングの方で解体してもらおう。数で勝負できないなら、質で勝負しないとだしな」
おそらく、珍しい魔物二体だと今後流通をするうえで現実味がないと言われてしまう。だから、一体は一般的な魔物。そして、もう一体は何か変わり種とかだと面白いかもしれない。
「それに、リリの武器の素材も集めないとな」
「覚えていてくれたんですね! あ、でも、私はもう少しアイクさんの短剣を堪能したいという気持ちもあるんですけど」
「安心しろ。どうせ、何本も失敗するんだから、完成品ができるのはしばらく先だ」
本来、リリはガルドから短剣を貰うはずったのに、それを俺に使ってくれと言ってくれた。
それなら、やっぱりリリにも俺の短剣と同じくらい良い物を身に着けて欲しい。
そんなことを思って、貰った短剣を【鑑定】してみたのだが、その短剣の武器ランクはSSだった。
いや、普通に引いたわ。ガルドさん、どんだけ良い短剣を俺たちに持たせてんだよ。
良い屋敷と高価な短剣を持たせておいて、これで終わりなんてことあるのだろうか? なんとなくだけど、これからも何かを頼まれていく気がしてしまう。
そして、多分これだけ色々良い物を持たされたら、断りづらいんだろうなと思ったりもしてしまう。
俺がこの短剣と同じ武器ランクの物を作るのは無理だろう。それでも、せめてあのミノラルの武器屋で売っていたくらいの短剣は作ってやりたい。
そのための素材集めをこの機会にできるなら、一石二鳥だろう。
俺はそんなことを考えて、魔物のいる森へと向かう馬車を求めて馬車乗り場に歩き出した。