「あれか」
「……結構大きいですね」
俺たちは【気配感知】でクリスタルダイナソーの位置を確かめながら、鉱山の奥へと進んでいった。
【潜伏】のスキルを使って近づき、影からクリスタルダイナソーの姿を覗き込んだ。
そこにいたのはダイヤモンドリザードを捕食するくらいの大きさをした魔物だった。二足歩行で歩く脚は太く、それの比ではないほど大きくて太い体がそこにあった。
俺の身長の四倍くらいの大きさの爬虫類をベースとした見た目と、鋭い爪と大きな顎が特徴的だった。
あの顎で噛まれたらそのまま体を引きちぎられそうだ。
俺は【鑑定】のスキルを使って、クリスタルダイナソーのステータスを覗き見ることにした。
【鑑定結果】
【種族 クリスタルダイナソー】
【レベル 39】
【ステータス 体力 3700 魔力 2600 攻撃力 4500 防御力 7100 素早さ 1200器用さ 1000 魅力 1400】
【スキル:硬化B 突進D 噛砕B】
「防御力たっか。基本的なステータスが高いな。リリ、一撃食らったら終わりだと思え。【潜伏】は絶対に解くなよ」
「分かりました。私はサポートを、ですよね?」
「ああ、それで頼む」
俺たちは事前の話し合いで各々の役割を決めた。
俺が相手の気を引きながら攻撃をして、リリがそのサポートと援護射撃。リリは【潜伏】で姿を消しながら、常に走り回るように指示を出してある。
そうすることで、簡単にはリリの姿を捉えることはできないはずだ。
「よっし、いくぞ」
「はいっ」
俺はリリにそう言うと、地面を強く蹴ってクリスタルダイナソーの足元に向かって駆け出した。
「ギヤアアアアア!!」
俺は【剣技】のスキルを使って、短剣を引き抜いた。そして、こちらに気づいて俺を威嚇するクリスタルダイナソーの姿をそのままに、一気に足元に潜り込んで比較的柔らかそうなお腹の部分を切りつけた。
「いっつ!」
しかし、その短剣はクリスタルダイナソーの皮膚を少しえぐっただけだった。皮膚が硬すぎるだけではない。俺の剣を見て【硬化】を使ってきたのだ。
攻撃をしたはずが攻撃をしたこっちが反動のダメージを負ってしまった。
「『ファイアボール』」
「ギヤァァァ!」
そのまま俺に攻撃をしてこようとしていたクリスタルダイナソーは、突然背中に食らった炎の塊に驚いたように体を跳ねさせた。しかし、攻撃をしてきた相手が見当たらないせいか、辺りをキョロキョロとしていた。
リリの援護を受けて、俺は咄嗟に魔物から距離を取って再び短剣を構え直した。
今の状態の攻撃力では【硬化】を使ったクリスタルダイナソーには勝てない。
そう思った俺は、【道化師】のスキルを使って、今の状況をひっくり返せるようなスキルを求めた。
ステータスとスキルによって高められた防御力を崩せるスキル。そんなものを想像すると、【全属性魔法】がぴくんと反応した気がした。
そして、【道化師】のスキルがその魔法の中から最適な物をピックアップして、俺の前に垂らしてきた。
「【肉体強化】」
【硬化】して攻撃が届かないなら、それ以上の攻撃でぶっ叩けばいい。そんな脳筋な戦い方をすればいいと、【道化師】がそんな魔法を教えてくれた気がした。
「よっし、いくぞ」
俺は再び地面を強く蹴ってクリスタルダイナソーの足元に向かおうとした。
しかし、走りだそうと思って蹴ったはずの脚は、そのまま跳躍をするくらい強いに跳んでしまっていた。
肉体強化によって高められた脚の力は想像以上に強化されていたらしかった。
「え? っと」
そのまま倒れそうになる体を支えながら、次の脚を踏み出して俺は走り出した。
先程とは比較にならない速度。突然、目の前の敵がそんなふうに迫ってきたら、相手だって警戒する。
【硬化】のスキルを使って俺の攻撃を耐えようと構えていたが、俺はその上から短剣を振り抜いた。
「ギヤァァァ!!」
「入った!」
俺が硬そうな鱗の上から短剣を叩きこむと、肩口から一太刀を食らった跡が残り、血を噴き出した。
反動のダメージも【肉体強化】をしているおかげか、そこまで気にならない。
俺はそのまま三度ほど切りつけて、距離を取ってダメージ量を確認した。
「……ダメージは入ってるみたいだけど、致命傷にはなってないか」
俺の短剣を三度ほど食らっているのに、クリスタルダイナソーはまだ片膝もつかずにこちらに牙を向けていた。
こちらに襲い掛かろうとしたところで、炎の球が着弾してクリスタルダイナソーは驚いたように体を跳ねさせていた。
そして、よく見てみるとその着弾した箇所には火傷の跡が残っていた。
「魔法ダメージの方が入りやすいのか?」
先程から数度リリの『ファイアボール』が直撃していた。その個所は火傷や焦げた跡が残っており、直撃したときは顔を歪めていた。
俺も短剣を鞘に納めて『ファイアボール』を打ち込もうとしたが、『ファイアボール』でちまちま攻撃をしていては時間がかかる気がした。
一気に相手を倒すことのできる中級魔法。それを唱えてしまいたかったが、どうもこの鉱山でその魔法を使うのには抵抗がある。
使った瞬間に鉱山が崩れるなんてこともなくはないだろう。なんとか、その衝撃を押さえ込めるような物があれば、安心して打ち込めるのだが……。
「あっ、そうだ。リリ! 俺の魔法がクリスタルダイナソーに当たった瞬間に、クリスタルダイナソーに結界を張ってくれ! 中級魔法を打ち込むから、その衝撃を押さえて欲しい!」
「え?! いや、私の結果って内側からの衝撃に強くないですよ?!」
「そこは魔力を込めて強化するか、力を外と内で反転させてくれ!」
「そ、そんなこと急に言われてもーー」
「信じてるぞ、リリ!」
そうだ。リリを助手として頼るのであれば、変に気を遣いすぎてはダメだ。
リリを一人の少女としてではなく、【助手】として信頼するのであれば、ここは強引にでも魔法を打ち込むべきだ。
そんなことを考えた俺は、リリの返事を待たずに【全属性魔法】から中級の炎魔法を選んだ。
「『フレイムボム』」
俺がその魔法を唱えると俺の半身ほどの大きさの炎が手のひらに形成された。そして、それをクリスタルダイナソーに投げつけると、着弾したそれはクリスタルダイナソーの全身を業火で包みながら爆発したのだった。
「……結構大きいですね」
俺たちは【気配感知】でクリスタルダイナソーの位置を確かめながら、鉱山の奥へと進んでいった。
【潜伏】のスキルを使って近づき、影からクリスタルダイナソーの姿を覗き込んだ。
そこにいたのはダイヤモンドリザードを捕食するくらいの大きさをした魔物だった。二足歩行で歩く脚は太く、それの比ではないほど大きくて太い体がそこにあった。
俺の身長の四倍くらいの大きさの爬虫類をベースとした見た目と、鋭い爪と大きな顎が特徴的だった。
あの顎で噛まれたらそのまま体を引きちぎられそうだ。
俺は【鑑定】のスキルを使って、クリスタルダイナソーのステータスを覗き見ることにした。
【鑑定結果】
【種族 クリスタルダイナソー】
【レベル 39】
【ステータス 体力 3700 魔力 2600 攻撃力 4500 防御力 7100 素早さ 1200器用さ 1000 魅力 1400】
【スキル:硬化B 突進D 噛砕B】
「防御力たっか。基本的なステータスが高いな。リリ、一撃食らったら終わりだと思え。【潜伏】は絶対に解くなよ」
「分かりました。私はサポートを、ですよね?」
「ああ、それで頼む」
俺たちは事前の話し合いで各々の役割を決めた。
俺が相手の気を引きながら攻撃をして、リリがそのサポートと援護射撃。リリは【潜伏】で姿を消しながら、常に走り回るように指示を出してある。
そうすることで、簡単にはリリの姿を捉えることはできないはずだ。
「よっし、いくぞ」
「はいっ」
俺はリリにそう言うと、地面を強く蹴ってクリスタルダイナソーの足元に向かって駆け出した。
「ギヤアアアアア!!」
俺は【剣技】のスキルを使って、短剣を引き抜いた。そして、こちらに気づいて俺を威嚇するクリスタルダイナソーの姿をそのままに、一気に足元に潜り込んで比較的柔らかそうなお腹の部分を切りつけた。
「いっつ!」
しかし、その短剣はクリスタルダイナソーの皮膚を少しえぐっただけだった。皮膚が硬すぎるだけではない。俺の剣を見て【硬化】を使ってきたのだ。
攻撃をしたはずが攻撃をしたこっちが反動のダメージを負ってしまった。
「『ファイアボール』」
「ギヤァァァ!」
そのまま俺に攻撃をしてこようとしていたクリスタルダイナソーは、突然背中に食らった炎の塊に驚いたように体を跳ねさせた。しかし、攻撃をしてきた相手が見当たらないせいか、辺りをキョロキョロとしていた。
リリの援護を受けて、俺は咄嗟に魔物から距離を取って再び短剣を構え直した。
今の状態の攻撃力では【硬化】を使ったクリスタルダイナソーには勝てない。
そう思った俺は、【道化師】のスキルを使って、今の状況をひっくり返せるようなスキルを求めた。
ステータスとスキルによって高められた防御力を崩せるスキル。そんなものを想像すると、【全属性魔法】がぴくんと反応した気がした。
そして、【道化師】のスキルがその魔法の中から最適な物をピックアップして、俺の前に垂らしてきた。
「【肉体強化】」
【硬化】して攻撃が届かないなら、それ以上の攻撃でぶっ叩けばいい。そんな脳筋な戦い方をすればいいと、【道化師】がそんな魔法を教えてくれた気がした。
「よっし、いくぞ」
俺は再び地面を強く蹴ってクリスタルダイナソーの足元に向かおうとした。
しかし、走りだそうと思って蹴ったはずの脚は、そのまま跳躍をするくらい強いに跳んでしまっていた。
肉体強化によって高められた脚の力は想像以上に強化されていたらしかった。
「え? っと」
そのまま倒れそうになる体を支えながら、次の脚を踏み出して俺は走り出した。
先程とは比較にならない速度。突然、目の前の敵がそんなふうに迫ってきたら、相手だって警戒する。
【硬化】のスキルを使って俺の攻撃を耐えようと構えていたが、俺はその上から短剣を振り抜いた。
「ギヤァァァ!!」
「入った!」
俺が硬そうな鱗の上から短剣を叩きこむと、肩口から一太刀を食らった跡が残り、血を噴き出した。
反動のダメージも【肉体強化】をしているおかげか、そこまで気にならない。
俺はそのまま三度ほど切りつけて、距離を取ってダメージ量を確認した。
「……ダメージは入ってるみたいだけど、致命傷にはなってないか」
俺の短剣を三度ほど食らっているのに、クリスタルダイナソーはまだ片膝もつかずにこちらに牙を向けていた。
こちらに襲い掛かろうとしたところで、炎の球が着弾してクリスタルダイナソーは驚いたように体を跳ねさせていた。
そして、よく見てみるとその着弾した箇所には火傷の跡が残っていた。
「魔法ダメージの方が入りやすいのか?」
先程から数度リリの『ファイアボール』が直撃していた。その個所は火傷や焦げた跡が残っており、直撃したときは顔を歪めていた。
俺も短剣を鞘に納めて『ファイアボール』を打ち込もうとしたが、『ファイアボール』でちまちま攻撃をしていては時間がかかる気がした。
一気に相手を倒すことのできる中級魔法。それを唱えてしまいたかったが、どうもこの鉱山でその魔法を使うのには抵抗がある。
使った瞬間に鉱山が崩れるなんてこともなくはないだろう。なんとか、その衝撃を押さえ込めるような物があれば、安心して打ち込めるのだが……。
「あっ、そうだ。リリ! 俺の魔法がクリスタルダイナソーに当たった瞬間に、クリスタルダイナソーに結界を張ってくれ! 中級魔法を打ち込むから、その衝撃を押さえて欲しい!」
「え?! いや、私の結果って内側からの衝撃に強くないですよ?!」
「そこは魔力を込めて強化するか、力を外と内で反転させてくれ!」
「そ、そんなこと急に言われてもーー」
「信じてるぞ、リリ!」
そうだ。リリを助手として頼るのであれば、変に気を遣いすぎてはダメだ。
リリを一人の少女としてではなく、【助手】として信頼するのであれば、ここは強引にでも魔法を打ち込むべきだ。
そんなことを考えた俺は、リリの返事を待たずに【全属性魔法】から中級の炎魔法を選んだ。
「『フレイムボム』」
俺がその魔法を唱えると俺の半身ほどの大きさの炎が手のひらに形成された。そして、それをクリスタルダイナソーに投げつけると、着弾したそれはクリスタルダイナソーの全身を業火で包みながら爆発したのだった。