「おう、思ったよりも早く到着したじゃないか!」
「ガルドさん、こんにちは」
俺たちは盗賊を捕まえてしばらく馬車で揺れた後、無事にガルドの鍛冶場に到着した。馬車の音で俺たちが着たことに気づいたのか、ガルドは俺たちの到着を迎えてくれた。
鉱石の街と知られる街、ラエド。武器職人の街とも言われるくらい武器屋が連なっており、王都では見られないような特殊な武器やなども扱っている。
それだけに、武器屋のための専門の素材売りを商いにしている店もあったりする。また、鍛冶師の修業の街としても有名だ。
そんな山のふもとにあるラエドの中でも、ガルドの鍛冶場は山の入り口付近にあった。おそらく、武器を作る職人たちにとっての一等地。そこに鍛冶場と大きな一軒家を構えているということは、それだけの権力者であることが窺えた。
……なんかすごい人に依頼を任されることになったな。
「はいよ、こんにちは。嬢ちゃんもよく来たな」
「もちろんです! 助手なので!」
「ははっ、そうかい。それじゃあ、さっそくで悪いけど依頼内容について説明するかな。こっちに来てくれ」
ガルドはそう言うと、俺たちをそのまま鍛冶場の方に連れていった。鍛冶場の中は火がついていない状態だったせいか熱くはなく、俺たちはそのまま鍛冶場の奥の方へと案内された。
すると、別の部屋に繋がる扉があった。ガルドがその扉を開けて俺たちを手招きしたので、俺たちはそのままその部屋の中に入っていった。
「うわっ、すごっ」
「これ、全部鉱石なんですか?」
そこには、色とりどりの鉱石が山のように置かれていた。青や赤などの見たことのない鉱石がずっしりと積まれており、俺たちはその景色に圧倒されていた。
どうやら、そこは鉱石の倉庫のようだった。
しかし、よく見ると仕切られて置かれている鉱石の数がまちまちだった。灰色の鉱石が山のように盛られているのに対して、紫色の鉱石や橙色をした鉱石は数が少ない。
俺は【鑑定】のスキルを使用してその鉱石を調べてみることにした。【鑑定】のスキルを使用してみると、すぐにその結果が脳内に流れ込んできた。
【鑑定結果 アメシスト鉱石……武器や装飾品などに用いられる紫色の鉱石。武器や装飾品に力を付加するときによく用いられる】
【鑑定結果 シトリン鉱石……武器や装飾品などに用いられる橙色の鉱石。刃物の切れ味を向上させる鉱石】
「アメシスト鉱石に、シトリン鉱石……どちらも初めて見ましたね」
そういえば、武器屋の中でもカウンターの近くに高そうな武器が置かれているのを見たことがある。もしかすると、あそこら辺の高価な武器に使用されているのだろうか。
「ほぅ……さすが、俺が見込んだだけのことはあるな」
「ありがとうございます。この鉱石を取ってくるのが依頼ですか?」
「ああ、この二つと後数種類の鉱石を取ってきて欲しい。取ってきた分だけを俺が買い取ろう。欲を言えば、このくらいは欲しい」
ガルドはそう言うと、近くにあった山積みになっている鉱石をポンと叩いた。どう考えても、今の状態から山積みの状態になるには数十個以上は必要になる。それを数種類ということは、合計百以上の鉱石を取って来いと言っているようなものだ。
俺の顔が引きつったのが分かったのか、ガルドは俺の表情の変化を楽しむように笑っていた。
「ま、さすがにそこまでとは言わんわ。無理をせずに弟子の腰が治るまでの間、繋いでくれればそれでいい」
ガルドはそう言うと、大きな声を出して笑った。おどけるような笑い九割と本気が一割って言う所な気がした。
……これは、本気で取り掛からないと大変なことになる気がする。
「今から鉱石のある場所と取り方、あとはコツを教えてやるから、よく聞いておいてくれ」
そんなことを考えながらレクチャーを受けて、俺たちはその日の夕方にさっそく鉱石採集のために山を登り始めたのだった。
「ガルドさん、こんにちは」
俺たちは盗賊を捕まえてしばらく馬車で揺れた後、無事にガルドの鍛冶場に到着した。馬車の音で俺たちが着たことに気づいたのか、ガルドは俺たちの到着を迎えてくれた。
鉱石の街と知られる街、ラエド。武器職人の街とも言われるくらい武器屋が連なっており、王都では見られないような特殊な武器やなども扱っている。
それだけに、武器屋のための専門の素材売りを商いにしている店もあったりする。また、鍛冶師の修業の街としても有名だ。
そんな山のふもとにあるラエドの中でも、ガルドの鍛冶場は山の入り口付近にあった。おそらく、武器を作る職人たちにとっての一等地。そこに鍛冶場と大きな一軒家を構えているということは、それだけの権力者であることが窺えた。
……なんかすごい人に依頼を任されることになったな。
「はいよ、こんにちは。嬢ちゃんもよく来たな」
「もちろんです! 助手なので!」
「ははっ、そうかい。それじゃあ、さっそくで悪いけど依頼内容について説明するかな。こっちに来てくれ」
ガルドはそう言うと、俺たちをそのまま鍛冶場の方に連れていった。鍛冶場の中は火がついていない状態だったせいか熱くはなく、俺たちはそのまま鍛冶場の奥の方へと案内された。
すると、別の部屋に繋がる扉があった。ガルドがその扉を開けて俺たちを手招きしたので、俺たちはそのままその部屋の中に入っていった。
「うわっ、すごっ」
「これ、全部鉱石なんですか?」
そこには、色とりどりの鉱石が山のように置かれていた。青や赤などの見たことのない鉱石がずっしりと積まれており、俺たちはその景色に圧倒されていた。
どうやら、そこは鉱石の倉庫のようだった。
しかし、よく見ると仕切られて置かれている鉱石の数がまちまちだった。灰色の鉱石が山のように盛られているのに対して、紫色の鉱石や橙色をした鉱石は数が少ない。
俺は【鑑定】のスキルを使用してその鉱石を調べてみることにした。【鑑定】のスキルを使用してみると、すぐにその結果が脳内に流れ込んできた。
【鑑定結果 アメシスト鉱石……武器や装飾品などに用いられる紫色の鉱石。武器や装飾品に力を付加するときによく用いられる】
【鑑定結果 シトリン鉱石……武器や装飾品などに用いられる橙色の鉱石。刃物の切れ味を向上させる鉱石】
「アメシスト鉱石に、シトリン鉱石……どちらも初めて見ましたね」
そういえば、武器屋の中でもカウンターの近くに高そうな武器が置かれているのを見たことがある。もしかすると、あそこら辺の高価な武器に使用されているのだろうか。
「ほぅ……さすが、俺が見込んだだけのことはあるな」
「ありがとうございます。この鉱石を取ってくるのが依頼ですか?」
「ああ、この二つと後数種類の鉱石を取ってきて欲しい。取ってきた分だけを俺が買い取ろう。欲を言えば、このくらいは欲しい」
ガルドはそう言うと、近くにあった山積みになっている鉱石をポンと叩いた。どう考えても、今の状態から山積みの状態になるには数十個以上は必要になる。それを数種類ということは、合計百以上の鉱石を取って来いと言っているようなものだ。
俺の顔が引きつったのが分かったのか、ガルドは俺の表情の変化を楽しむように笑っていた。
「ま、さすがにそこまでとは言わんわ。無理をせずに弟子の腰が治るまでの間、繋いでくれればそれでいい」
ガルドはそう言うと、大きな声を出して笑った。おどけるような笑い九割と本気が一割って言う所な気がした。
……これは、本気で取り掛からないと大変なことになる気がする。
「今から鉱石のある場所と取り方、あとはコツを教えてやるから、よく聞いておいてくれ」
そんなことを考えながらレクチャーを受けて、俺たちはその日の夕方にさっそく鉱石採集のために山を登り始めたのだった。