発信者は……森田九作の殺害現場の屋敷に、まだいる??

 では、やはり殺人犯の橘サエ子に監禁されている……のではないだろうか。
 そしてこいつは自分は『安全だ』と言ったのだ。

 もしもあのアイコンの少年が、発信者だとしたら……。

 橘サエ子が額縁に入れる程の存在。
 つまりそれは……??

 いや、まずは屋敷に向かわなければいけない!!

『たすけにいく、ばしょをおしえて』

 覚悟を決めるぞ!
 大スクープ!!
 行くぞ!!

『わからない』

 はぁああああああ!?!!?!
 ここまできて、何を考えとるんだ!??!

『わからないって、じゃあどうする。たすけられない』
 
 やっぱイタズラかぁ!?
 こいつ、ふざけてんのか!?

『やまおくのやしき』

 そんなのどれだけあると思ってんだよぉーーー!!

『たすけて』

 むー……。
 あの写真の子どもだったら、まだ子どもで……本当にわからなかったら。
 いやいや、そんなわけはない。
 どうだろうか。
 
『今使っているのはスマホ? パソコン?』
 
『スマホ、たぶん。たすけてたすけて』

『やしきのいちがわからないとね』

 意地悪ではない。
 仕方がない。
 場所がわからないとか……まじかよー。

 ……でも、森田の研究所だろう。

『てがかりはないか、しらべられない?』

『やってみる』

『GPSでじぶんのいばしょをとくていするか、森田や橘のばしょをいってるはなしをおもいだせない?』

 私はイメージした。
 森の奥深い場所にある屋敷に……閉じ込められている少年。

 橘は森田を狂って殺し、少年を溺愛しているんだ。
 少年は……彼らの息子……なのでは??

 でも、そこにオカルト要素はないぞ。
 やはり警察か……?
 
 しばらくDMは返ってこなかった。

 私はその間に編集長に電話をかけた。
 しかし森田は行方不明になる前に新たな研究所を見つけたと話していたが場所を他者に教えることはなかったという。
 橘との研究に没頭したんだろうか。

 私は橘のアパートにもう一度戻ろうかと考えた。
 書類か何かあるんではないか。
 『こわい』という言葉は、一体何に対してだったのか。
 殺しに行けるなら、場所を知る何かがあるのではないか。

 そう、ジッと考えた。
 私は記者だ。
 考えろ、考えろ。

 SNSにDMがきた知らせがきた!
 エロ垢だった。
 ふざけんな。

 でもすぐその後に発信者から連絡がきた。

『20XX年01月01日06:53:XX AM04:XX:59 PM
 20XX年02月01日06:XX:44 AM05:XX:25 PM
 20XX年03月01日06:15:XX AM05:XX:47 PM
 20XX年04月01日05:XX14 AM06:05:XX PM
 20XX年05月01日04XX:59 AM06:XX:31 PM
 20XX年06月01日04:XX:27 AM06:XX:16 PM
 20XX年06月29日04:32:XX AM07:XX:XX PM
 20XX年06月30日04:XX:10 AM07:XX:12 PM
 20XX年07月01日04:33:XX AMXX:04:10 PM
 20XX年08月01日04:XX:26 AM06:XX:31 PM
 20XX年09月01日05:XX:05 AM06:XX:25 PM
 20XX年10月01日05:XX:32 AMXX:30:XX PM
 20XX年11月01日XX:06:08 AM04:XX:13 PM
 20XX年12月01日06:35:XXAM04:XX:46 PM 』 

 一瞬ウッとなった。
 これは……去年の……?
 なんだこの、詳細な時間は……いや、まてよ。
 これは……。

『たいようがでたじかんと、しずんだじかんならわかる』
 
 思った通りだ。
 これは日の出と日の入りの時間。
 これで……!
 屋敷のある場所がある程度特定できる……!!

 私は編集長に協力してもらうべくメールをコピペして送った。