《page 01》
◯アルスマグナ魔導学院 校舎前
まるで城のような学院の後者の前に、制服姿の少年少女の生徒が大勢集められている。
その中には主人公のエドワード(エディ)の姿もあるが、プレッシャーでガチガチ。
集められた生徒達に向けて、教師が昇級試験の開始を宣言する。

教師「これより昇級試験を開始します」
教師「皆さんが次の段階に進めるかどうかは、この試験の結果次第。心して臨むように」

《page 02》
◯アルスマグナ魔導学院 校舎前(前ページから継続)
試験が始まる前に、教師が生徒に説明するという形で、世界観と魔法の設定について軽く触れておく。
そのついでに、主人公や今後の話で出てくる生徒の姿も一コマずつ程度描写。

教師「魔導師は現代社会の根幹を成す重要な存在です」
教師「火を操れば一騎当千の兵器となり、風を操れば帆船を自由に走らせ、水を操れば見渡す限りの田畑を潤し、土を操れば山を崩して道を切り開く」
教師「農業、戦争、インフラ整備。魔導師と関わりのない分野は、もはやこの世にはありません」
教師「ですが、わが校が求める一流の魔導師になるためには、人並み外れた努力と才能が必要不可欠」
教師「この昇級試験は、魔導師に相応しい者を見極める最初の選別です」

《page 03》
◯アルスマグナ魔導学院 校舎前(前ページから継続)
試験内容の説明&試験シーン。説明は台詞を詰め気味に配置して、試験シーンの絵面を大きめに取る。
そつなくこなすモブ生徒の姿と、うまくできないエディの姿をセットで描写する。

教師「皆さんには四大属性に対応した四つのテストを受けていただきます」
教師「内容はごく初歩的なものばかり。最低限の素質が身に付いているかを試すものです」
教師「昇級試験の合格には、四つのテストを全て成功させる必要があります」
教師「三つまでなら再試験を受けることができますが、四つ全て失敗した場合はその時点で落第決定です」
教師「それでは、試験開始!」

ナレーション「火の試験――」
モブ生徒:拳大の火の玉を放って的に命中させる
エディ:火の玉が発射直後に消滅

ナレーション「風の試験――」
モブ生徒:風を操って羽根を頭上に浮かばせる
エディ:羽根が台座からちょっとしか浮かばない

ナレーション「水の試験――」
モブ生徒:コップに手をかざし、中の水を噴水のように吹き出させる
エディ:コップの水面がさざなみ立つだけ

《page 04》
◯アルスマグナ魔導学院 校舎前(前ページから継続)
焦るエディ。周囲の生徒は心配そうな目で見たり、くすくす嘲笑したりしている。

エディ(ど、どうしよう……三回連続で失敗……次も失敗したら、問答無用で一発不合格……)

エディが真っ青になっている間に、モブ生徒が次の試験をクリアする。

ナレーション「土の試練――」
モブ生徒:教師が放った魔法を土壁で防ぎ止める

教師「よろしい、合格です。次、エドワード君」
エディ「は、はいっ!」

教師に呼ばれて前に出るエディ。周囲の揶揄と陰口が聞こえてくる。

生徒達
「エディの奴、さすがにダメっぽいな」
「一発不合格とか珍しいもんが見れそうだ」
「あいつ座学は優秀なくせに、実技はマジでゴミクズだからなぁ」

《page 05》
◯アルスマグナ魔導学院 校舎前(前ページから継続)

教師
「火属性のルビー寮。風属性のエメラルド寮。水属性のサファイア寮。土属性のトパーズ寮」
「あなたもよく知っている通り、学院の寮は先天的な魔力適正に応じて割り振られます」
「そして、あなたは土属性を得意とするトパーズ寮」
「教師として手を抜くことはしませんが、無事に達成できることを期待していますよ」

エディ「は……はい! お願いします!」

追い詰められたエディが、必死な顔で土壁を生成。
だが前ページのモブ生徒のものと比べて明らかに薄い。
そこに教師の魔法が放たれ、爆発が起こって土壁が吹き飛ばされる。

エディ「うわあっ!?」

《page 06》
◯アルスマグナ魔導学院 校舎前(前ページから継続)
エディは呆然とした顔で尻もちを突いている。失望した顔で首を横に振る教師。

教師「残念です。下がりなさい、エドワード君。次の生徒は――」
エディ「ま、待ってください!」

エディは縋るように、懐から太い金属の筒らしきものを取り出す。

エディ「魔導器を使わせてください!」
エディ「こ、これは僕が自作したもので、スイッチを押せば中の仕掛けが……」
教師「エドワード君」

怖い顔の教師に威圧され、びくりと震えるエディ。

《page 07》
◯アルスマグナ魔導学院 校舎前(前ページから継続)

教師
「確かに、一流の魔導師も必要に応じて魔導器を使います」
「いわゆる魔法使いの杖からして、持ち主の魔力制御を補佐する収束器ですからね」
「ですがこの試験は、魔導師としての必要最低限の実力を図るもの」
「魔導器に頼らなければならないのなら、昇級する資格などありません」

エディは反論することもできず、真っ青な顔でうつむくことしかできなかった。
周囲の生徒のリアクションは、嘲笑や哀れみなど様々。

《page 08》
◯アルスマグナ魔導学院 遠景
場面転換。学院の遠景を背景に、主人公のモノローグを入れる。

エディ(モノローグ)
「こうして僕は落第した」
「それも一発不合格。再試験すら受けられない最低の結末だ」
「魔導学院の百年以上の歴史の中でも、最初の進級試験で一発不合格を食らってしまったのは、僕を含めてたったの七人」
「つまり僕は、この上なく情けない理由で歴史に名を刻んでしまったのだ」

◯アルスマグナ魔導学院 どこかの部屋
エディが父親から届いた手紙を読んでいる。
場所は前の場面からの流れで学院のどこかだと分かる程度で、詳細な描写は必要なし。

父親(手紙)「進級試験の結果について、学院から連絡があった」
父親(手紙)「正直に言って失望したぞ、エドワード」
父親(手紙)「最初の試験すら合格できないようでは、お前には魔導師の才能がなかったと言わざるを得ない」

《page 09》
◯アルスマグナ魔導学院 どこかの部屋(前ページから継続)
前ページから引き続き、父親からの手紙を読むエディ。

父親(手紙)「よって、学費の援助は今月で打ち切らせてもらう」
父親(手紙)「もし学院に残りたいなら、学費も生活費も自力で稼ぎなさい」
父親(手紙)「私は今後一切、銀貨一枚たりとも援助はしない。心しておくように」

◯アルスマグナ魔導学院 廊下
場面転換。酷く落ち込み、トボトボと廊下を歩くエディ。
すれ違う生徒がクスクスと笑い、エディを更に気落ちさせる。
そんなエディに、背後から威勢のいい声が投げかけられる。

男の声「よぅ、エディ!」

《page 10》
◯アルスマグナ魔導学院 廊下(前ページから継続)
声の主は友人のオースティン。エディと比べて体格が良く、陽気な印象。

エディ「オースティン……」
オースティン「進級の件、残念だったな。でもまぁ、再試験で落ちた奴なら他にもいるんだ」
オースティン「来年に向けて今から準備しとかねぇと……」
エディ「いや……それがさ……」

場面転換の演出を挟み、次のページに。

《page 11》
◯アルスマグナ魔導学院 中庭
中庭のベンチに座って話し込むエディとオースティン。
場面転換の合間に手紙の件を話したという形で会話が進む。

オースティン「援助打ち切りかぁ。親父さんらしいって言えばそうだけど、さすがにキツイなぁ」
オースティン「んで、これからどうするつもりなんだ?」
エディ「どうって、そりゃあ続けたいよ」
エディ「やっと夢を叶えるスタートラインに立てたんだから」
オースティン「夢っていうと、アレか。子供の頃に、故郷の町を救ってくれた魔導師みたいになりたい……とか何とか」
エディ「うん、それ」

下記のエディの台詞と合わせて、その魔導師の活躍のイメージ図を描写する。

エディ「町を襲った魔獣をたった一人で蹴散らして、壊れた町も魔法であっという間に直して」
エディ「しかも報酬を受け取るどころか名乗りもしなかった」
エディ「僕もそういう魔導師になりたかったんだけど、こんな有様じゃあね……」

《page 12》
◯アルスマグナ魔導学院 中庭(前ページから継続)
オースティンがひどく落ち込んだエディを気遣い、とある提案をする。

オースティン「うーん……そうだ! いいこと思いついた!」
オースティン「一年くらい休学してみたらどうだ?」

エディ「休学!?」

オースティン「休学して学費を稼ぐのは、うちの学院だと珍しいことじゃねぇぞ」
オースティン「今後の学費と生活費を稼ぎつつ、実務経験を積んで腕を磨ける」
オースティン「まさに一石二鳥って奴だ」

エディ
「なるほど……進級に必要な単位は取ってあるんだから、これから丸一年休学したとしても、来年の進級試験は問題なく受けられる……その間に稼げばいいのか……」

エディの顔に段々と希望が戻ってくる。

《page 13》
◯アルスマグナ魔導学院 中庭(前ページから継続)

エディ「あ、でも……僕みたいな落第生、どこが雇ってくれるんだろ」
エディ「魔法は三流未満だし、力仕事とか全然できないし……」

オースティン「座学は同期でもトップクラスだったろ」
オースティン「だったら仕事くらい探せば見つかるって」
オースティン「でもまぁ、手っ取り早く短期間で稼ぎたいっていうなら……」

爽やかな笑顔でエディを励ますオースティン。
そして次の台詞と共に、驚きで目を丸くするエディの様子を大きく描写する。

オースティン「冒険者になってみないか?」

《page 14》
◯大陸のどこか
自然の風景を背に、冒険者ギルドについて説明するエディのモノローグを描写する。
風景はコマごとに遠景から近景に近付いていき、最終的に馬車鉄道が走行している様子にフォーカス。小型バス程度のサイズで二頭立てで、野外に敷かれたレールの上を走っている。

エディ(モノローグ)
「この大陸は、大きく分けて二つの領域に分かれている」
「人間の国々がある『人類領域』と、その外に広がる『未開領域』」
「そして、冒険者は未開領域の探索を生業とする人々のことだ」
「未開領域の魔力濃度は人類領域よりも遥かに高く、その影響でこちらには存在しない資源や動植物が山程ある」
「まさに一攫千金の宝の山。絵に描いたようなハイリスク・ハイリターン」
「それが冒険者という職業だ」

《page 15》
◯大陸のどこか 馬車鉄道の乗換駅
街道沿いに設けられた駅(屋根付きのバス停程度の規模)で、マントかローブを羽織ってカバンを背負った旅装束のエディが馬車を降りる。
長時間の乗車で体の節々が傷んでいる様子。

エディ(いたた……運賃が安いのはいいんだけど、長いこと乗ってると堪えるな……)
エディ(後一回乗り換えたら目的地……プロの魔導師なら、こんな苦労はしなくて済んだんだろうな)

それと同時に、同じく馬車から降りてきた少女が、元気にぐっと伸びをする。
見た目はエディと同世代。この少女がメインヒロイン(予定)なので、ビジュアルもしっかりと描写しておく。

少女「あー、良く寝た!」
エディ(馬車で寝られるとか、凄いなあの子)

そのとき、何か大きな影がエディ達の頭上を横切る。

少女「わあっ! 何あれ!?」

《page 16》
◯大陸のどこか 馬車鉄道の乗換駅(前ページから継続)
エディ達の上空を、大きな鳥に牽引された乗り物が横切っていく。
その鳥は普通の生物ではなく、魔力で作られた擬似的なもの(エネルギー体が鳥の形を取ったような外見)

エディ「鳥の形をした魔法だよ。後ろに乗ってるのが魔導師だろうね」

エディ(僕もあれくらいできたら、馬車で痛い思いすることも……)
エディ(……いや、それなら休学なんかしてないか)

物思いに耽ろうとしたエディの眼前に、満面の笑みを浮かべた少女の顔がぐいっと近付いてきた。

エディ「うわぁっ!?」
少女「凄い! 詳しいんだね!」

後ずさって距離を取ろうとするエディだったが、少女はその分だけぐいぐいと詰め寄ってくる。

エディ「ちょ、近いって! ていうか馬車来たから! 離れて離れて!」

《page 17》
◯大陸のどこか 馬車鉄道 車内
車窓の外に広がる風景を大コマで描写。
これから先の物語の主な舞台となる大都市を展望する。
大きな川の手前側に都市があり、橋を挟んだ川向かいには人の手がほとんど入っていない自然が広がっている。
手前側が人類領域で奥側が未開領域。
未開領域側の橋の近くにも少しだけ市街地がある。
大都市の一部が橋の向こう側に浸透して広がったイメージ。

エディ(ナレーション)
「自由都市オリエンス」
「人類領域と未開領域の境界線上に位置する街」
「世界最大の冒険者ギルドが拠点を構える、冒険者達の一大拠点」
「僕がこれから先の一年間を過ごす場所――」

《page 18》
◯自由都市オリエンス 中央広場
中央広場で場所を降りるなり、人混みに圧倒されるエディ。
ふらつきそうになったエディとは対照的に、少女は興奮してテンションが上がり、いてもたってもいられず駆け出してしまう。

少女「着いたー! オリエンスー!」
エディ「あ、ちょっ……行っちゃった」
エディ(ていうか、名前も聞いてなかったな。どこの誰だったんだろう)
エディ(いや、そんなことより。まずは自分の用事を終わらせなきゃ)

エディは気を取り直し、鞄から地図を取り出して目的地を探す。

エディ(ええと、冒険者ギルドは……あっちかな)

《page 19》
◯自由都市オリエンス各所
台詞なしのページ。エディがオリエンスのあちらこちらを歩き回る。
最後のコマで、エディがフッと諦めたような笑みを浮かべる。

《page 20》
◯自由都市オリエンスの一角
大袈裟に地面に崩れ落ちるエディ。
目をぐるぐるさせて、落第が決まったときとは全く別の絶望に打ちひしがれる。

エディ(迷ったぁー!)
エディ(人は多いし道は複雑だし! なにこれ迷路? 無秩序に街広げすぎじゃない!?)
エディ(冒険者ギルドってどこだよ! ていうかここはどこなんだよ!)

そんなエディの耳に、見知らぬ誰かの声が入ってくる。

???「冒険者ギルド? 知ってる知ってる! 案内してやるよ!」

《page 21》
◯自由都市オリエンスの一角(前ページから継続)
声がした方にハッと顔を向けるエディ。声の主はチンピラじみた風体の男達。
エディに声をかけたのではなく、page 18で別れた少女が相手。

少女「本当? ありがとう! どこにも見当たらなくて困ってたんだ!」
チンピラ「いいってことよ。あっちの裏通りが近道だぜ」

少女は疑う様子もなく男達についていこうとする。
その一部始終を見ていたエディは、唖然として目を剥いている。

エディ(え……あれってどう見ても……)
エディ(人を見かけで判断しちゃいけないっていうけど、さすがに露骨過ぎるって)
エディ(でも、冒険者ってガラの悪い外見の人が多いって聞くし……)
エディ(……いやいや、いくら何でもアレはダメでしょ!)

《page 22》
◯自由都市オリエンスの一角(前ページから継続)
エディは一通り悩んでから、少女の後を追いかけることを決める。

エディ(と、とにかく追いかけよう!)
エディ(本当に親切な人だったとしても、ついでに案内してもらったと思えばいいだけなんだ!)

◯自由都市オリエンス 裏路地
場面転換。少女とチンピラ達がメインの場面。
人気のない裏路地の奥に来ても、少女はまだ疑いを抱いていない様子。

チンピラ「よーし、着いたぞ」

《page 23》
◯自由都市オリエンス 裏路地(前ページから継続)
着いた場所は裏路地の行き止まり。少女は状況が理解できずにキョトンとしている。

少女「えっ? あの、行き止まりだけど」

チンピラ達「ギャハハ! マジかよこいつ! まだ自分の状況分かってねぇぞ!」
チンピラ達「簡単に引っかかりやがって! チョロすぎだろ!」

次々に刃物を取り出すチンピラ達。
少女もさすがに窮地を悟り、怯えた顔で後ずさる。

最後のコマで、少女とチンピラ達から少し離れたところで、誰かの靴がざりっと地面を踏む描写(エディが行動を起こそうとしていることの前振り)

《page 24》
◯自由都市オリエンス 裏路地(前ページから継続)
円筒形の金属筒が弧を描いて宙を舞う。
Page 06でエディが持っていた金属筒と同じデザイン。
それがチンピラ達の足元に音を立てて落ちる。

チンピラ達「何だ? ……うわっ!」

金属筒から大量の煙が一気に吹き出す。

《page 25》
◯自由都市オリエンス 裏路地(前ページから継続)
路地裏の行き止まりが濃密な煙に包まれ、ほとんど前が見えなくなる。

チンピラ達「ふざけやがって! どこのどいつだ!」

デタラメに刃物を振り回すチンピラ達。
その合間を縫うようにして、人影が少女に近付いて腕を掴む。

少女「きゃあっ!?」

《page 26》
◯自由都市オリエンス 裏路地(前ページから継続)
page 15で少女がエディに顔を近付けたのと対比させるように、凛々しく真剣な面持ちのエディが怯えた少女にぐっと顔を近づける。

エディ「今のうちだ! 逃げるよ!」
少女「えっ、あ、うん!」

エディは少女の手を引いて、煙幕の外に走り出す。

チンピラ「テメェ! 待ちやがれ!」

《page 27》
◯自由都市オリエンス 裏路地(前ページから継続)
息を切らして裏路地を駆けるエディと少女。
少女が後ろを見ると、チンピラ達が鬼のような形相で追いかけてきている。

少女「駄目! 追いつかれる!」

エディ「分かってる! ……こんなこともあろうかと!」

《page 28》
◯自由都市オリエンス 裏路地(前ページから継続)
エディは急ブレーキを掛けて足を止めながら、振り返ると同時にしゃがみこんで地面に手を突く。

エディ(どうせ僕は! 三流未満の落第魔導師!)

ちょうどチンピラ達が走っている辺りの左右の壁際に、円筒形の魔導器が幾つか設置されている。

エディ(姑息だろうと! 卑怯だろうと! 頭を使って足掻くだけだ!)

地面に突いたエディの手から、パルス状の微弱な魔力が放たれる。

《page 29》
◯自由都市オリエンス 裏路地(前ページから継続)
魔力のパルスが円筒形の魔導器に到達、その機能を遠隔で作動させる。
閃光がほとばしり、路地裏を揺るがす大爆発がチンピラ達を飲み込む。
爆発の煙が青空に立ち上っていくコマで場面転換。

《page 30》
◯冒険者ギルド本部 外観
建物の外観を描写し、そこが冒険者ギルド本部であることをナレーションで明示する。
近世ヨーロッパ的な数階建ての立派な建造物。

ナレーション「同日、冒険者ギルド――」

◯冒険者ギルド本部の一室
爆発の煤で汚れたエディと少女が長椅子に腰掛け、大柄な冒険者の男から事情聴取を受けている。
エディと少女は困ったような顔で笑い、大柄な男は強面で無表情。

大柄な男「なるほど、状況はよく分かった」

《page 31》
◯冒険者ギルド本部の一室(前ページから継続)

大柄な男「冒険者を名乗る不届き者は、我々が適切に処理しておこう」
大柄な男「爆発で建物が損傷したことも含め、君達が咎められることはない」
大柄な男「事後処理は全て冒険者ギルドが済ませておく」
エディ「あ、あはは……ありがとうございます」

爆発の跡地の様子を一コマ程度挿入。
路地の左右の建物の壁が焦げて軽く崩れ、周囲に野次馬が集まっている。

大柄な男「礼を言うのはこちらの方だ」
大柄な男「偽冒険者共の蛮行には、我々も常日頃から困らされているからな」

《page 32》
◯冒険者ギルド本部の一室(前ページから継続)
聴取を終えた大柄な男が席を立ち、エディと少女を残して部屋を出る。

大柄な男
「さて、聴取は以上だ」
「俺はこれから上の方に報告を持っていくが、二人はゆっくり休んでくれて構わない」

扉が閉まって二人きりに。
エディは緊張から解放され、長椅子にぐったりと背中を預けて長々と息を吐く。
すると、隣に座っていた少女がいそいそと身を寄せ、はにかみながらエディの顔を覗き込んでくる。
最初の方のただ明るいだけの笑顔とは違い、エディのことを意識しているような反応。

少女「そういえば、お礼、まだ言ってなかったよね。ありがとう」
エディ「べ、別に……大したことはしてないし」
少女「そんなことないって! 本当に格好良かったよ!」

《page 33》
◯冒険者ギルド本部の一室(前ページから継続)
ようやく少女が自己紹介をする。その満面の笑みに照れながら、エディも名前を名乗る。

少女「私、ステラ。ステラ・アルヴァ。あなたの名前は?」
エディ「……エドワード。エドワード・オグデン。エディでいいよ」

◯冒険者ギルド本部 飾り気のないどこかの部屋
大柄な男が、机にぽつんと置かれた魔法の水晶玉を通じて、ギルド幹部に一連の出来事を報復している。
手の平サイズの水晶玉の上方に、映像が蜃気楼のように映し出されている状態。
この時点では、ギルド幹部の姿はシルエットにするなどしてぼかし、次のページで明らかにする。

大柄な男「報告は以上です」
幹部『ご苦労、イグナシオ。魔導学院の生徒にアルヴァ家の娘ときたか』
幹部『しかも少年の方は自作の魔導器を使っていたと』

《page 34》
◯不明(水晶玉越しの通信先)
場面転換。ギルド幹部の姿を大コマで描写。一目で強さと美しさを兼ね備えたと分かる女性。
それと同時に、幹部の肩書などをナレーションで提示し、主人公が極めて地位の高い人物にいきなり注目されたことを読者に印象づける(次話への興味を引く仕掛け)

幹部「面白い。その少年、我々が求めていた人材に育つかもしれん」
幹部「快くギルドに招き入れろ。間違っても心変わりをさせるんじゃないぞ」

ナレーション「AAA(トリプルエー)ランク冒険者、ギルドマスター代理」
ナレーション「アレクサンドラ・ボールドウィン」