【釣果レベル:60】

 攻釣力(こうちょうりょく):100
 防釣力(ぼうちょうりょく):100
 魔釣力(ま゛ちょうりょく): 78
 (ちょう) (う゛ん):???

 (マナ)(ポイン)(ちょう): 70/99
 
 現在使用できるスキル一覧

 【人釣一体:LV1】
 ・ルアーの半径十センチを詳細に感知

 【器用貧乏:LV1】
 ・それなりに色々出来るが、ざんねんな結果になる

 【???】
 【??????】
 【??????】――以下略

 |釣《》ちょうXP:38580/40000

「なんだこれ? 釣果レベル60? それより攻釣力とか意味不明だし、釣運の〝う゛〟とか苦しそうなうえ、MP釣とかギャグにしか見えなんだが?!」

 意味のわからない言葉の数々。それに困惑していると、相棒が『やはり』とマジメな声で話す。

『主よ。貴方の釣り歴は何年ですか?』
「なんだよ急に。んん~、逝った爺様に三才の頃に仕込まれてからだから……そう、三十七年だな」
『想像以上でしたか……いいですか主。人族なら釣り歴が釣果レベルになるのは、年に一つレベルがあがればとてつもなく凄い事です。が、主はそれをはるかに超えて六十と言う意味の分からないレベルです』

 そう言いだす相棒の言葉が理解できない。だってそうだろう、聞いた事のないものばかりなんだから。
 説明はまだ続き、どうやら釣果レベルが60というのは、一生かかっても獲得できるかどうかというものらしい。
 しかしこの赤い本。〝ス釣タス〟が通常のものよりも特殊らしく、先程一度出した時よりもグレードアップしているそうだ。

「気が付いた時には赤い本だったからなぁ。そんなにこの本は凄いの?」
『はい。ス釣タスは黒い本なのが普通ですが、その赤い背表紙は特別です。具体的に申しますと――』

 どうやらス釣タスそのものが、通常では見えないらしい。
 それが使えるようになるのは人族では(まれ)であり、俺はこの神釣り島の主になった事で使えるようになった。
 しかもこの赤い本は伝説(レジェンド)クラスの物だといい、コレを呼び出せるのは相棒の知る限りでは三人目だそうだ。

『――そんな訳で、私が直接見たのは主で三人目ですね』
「へぇ、この本がねぇ。まぁ豪華なのは分かったけれど、この書いてある意味はなんだよ?」

 相棒は『上から順に』と、丁寧に説明してくれる。
 まずは攻釣力。これは攻撃力みたいなものらしく、防釣力は防御力とのこと。

「一体何を攻撃したり防御するんだ?」
『攻釣力は、対象の体力を減らします。コレにより、対象の体力や防御力が限界になると釣り上がります。防釣力は相手が魚なら、その引きずりこむ力から耐える感じですかね』

 確かに大物がかかれば体力がゴリゴリ削られる。この世界に連れてこれらた時にファイトした、あのクソ怪魚を思えばそれも理解できた。

「じゃあさ、そのバナナの木みたいなのはどうなるんだよ?」
『それも同じです。木でも岩でも反撃してくるのもいますからね』
「異世界コワッ!? じゃあ魔釣力(ま゛ちょうりょく)は?」

 相棒は『当然の疑問ですね』と言うと、話を続ける。

 どうやら魔釣力はバナナの木に似たものから、繊維を釣り上げた時に使ったらしい。
 これが低いと、釣れる物でも失敗するそうだ。
 (マナ)(ポイン)(ちょう)ってのは特殊なモノ。つまり今回釣り上げた繊維みたいなやつを、釣り上げる時に消費するみたいだ。つかネーミングぅ。

 しかも成功具合により、消費するMP釣が変わるらしい。テキトーすぎんだろオイ。
 人釣一体もにたようなものらしいけど、それは使っている間に徐々にへるタイプみたいだ。

「流れからいうと、釣運ってのは釣りに関する運って事だよな? でもなんで見えないのさ」
『……そうですね。そんな感じの認識でよいかと。まぁ見えないのはそのうち見えますよ』

 見えないのは謎だが、確かに釣りに運は大きく関係する。
 例えば釣りたい魚がいても、それに出会えなければ釣ることはそもそも不可能なのだから。

「そんなものか。あとはスキルだけど、人釣一体は分かったからいいとして、器用貧乏ってなんだよ。失礼すぎるぞオイ」

 相棒は『それはすぐに分かりますよ』と言うと、ふよふよと浮き上がる。
 その間に総合的に考えてみる。つまりはこういう事なのだろう。

「うん、意味がマジでワカラン。そもそも俺が子供になった事が一番ワカラン」
『現実を受け入れてください。まずは先程釣り上げた繊維を――あ゛!?』

 なにか悲痛な叫びを感じ背後を振り返る。
 そこにはあの話す変な子狐。わん太郎が繊維とたわむれていた。